【10/19】米中ロ首脳会談をプーチン氏が提案|深圳APECでウクライナ抜きの協議か

【10/19】米中ロ首脳会談をプーチン氏が提案|深圳APECでウクライナ抜きの協議か

ロシアのプーチン大統領が、トランプ米大統領に対し、中国の習近平国家主席を交えた米中ロ3カ国の首脳会談を提案したと、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が2026年10月18日に報じました。11月に中国・深圳で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、ウクライナ情勢を話し合う構想です。侵略を受けているウクライナは参加者に含まれていません。報道によると、トランプ氏はまだ同意していません。この記事では、提案の中身、米中ロそれぞれの反応、ここまでの経緯、日本にとっての意味を表で整理します。

この記事でわかること

  • 提案の中身:プーチン氏が10月9日の米露電話会談で、11月の深圳APECに合わせた米中ロ首脳会談を提案したと報じられました。
  • 各国の反応:トランプ氏は未同意で、中国はトランプ氏が同意すれば反対しない意向と伝えられています。
  • 日本への意味:ウクライナも日本も入らない場で戦争の終わらせ方が話し合われる可能性があり、APECまでの動きが焦点です。
目次

米中ロ首脳会談とは?プーチン氏は何を提案したのか

米中ロ首脳会談は、プーチン氏がトランプ氏と習氏を交えてウクライナ戦争の終結を話し合おうと提案した3者会談の構想です。

読売新聞によると、WSJは10月18日、プーチン氏がウクライナ情勢を協議するため、トランプ氏に習近平国家主席を交えた3者会談を提案したと報じました。WSJは、ロシアに有利な形で戦争の終結を図る思惑があると伝えています。日本では10月19日朝から各社が一斉に報じ、FNNやABEMA(ANNニュース)も同じ内容を伝えました。

提案はいつ、どの場で出たのか

提案は、10月9日に行われたトランプ氏とプーチン氏の電話会談の中で出たと報じられています。

読売新聞とABEMA TIMES(ANNニュース)は、プーチン氏が9日の電話会談で、11月に中国で開かれるAPEC首脳会議に合わせた開催を提案したと伝えています。Forbes JAPANによると、この電話会談のあと、トランプ氏はロシア産軽油を米国や世界各地へ販売できるようにする合意を発表しました。軽油をめぐる合意の中身は「ロシア産軽油の制裁緩和とは?トランプ・プーチン合意の中身と日本への影響」で整理しています。

WSJが伝えたロシアの狙い

WSJは、ロシアに有利な形でウクライナとの戦闘を終わらせる交渉を目指す動きだと分析しています。

ABEMA TIMESは、トランプ氏がロシアへの新たな制裁の実施を見送るなど米ロの関係改善の動きがある中で、ロシアに有利な形で戦争を終わらせようとするプーチン氏の新たな試みだとWSJが分析していると伝えました。読売新聞も、米露関係が改善する中でトランプ氏に打診した模様だとしています。

米中ロ首脳会談はいつ、どこで開く構想か

構想では、11月に中国・深圳で開かれるAPEC首脳会議に合わせ、米中ロの3首脳が集まって会談します。

報じられている構想の要点を、出どころごとに並べると次のとおりです。

項目 報じられている内容 出どころ
参加者 トランプ米大統領・習近平国家主席・プーチン露大統領の3人 WSJ(読売新聞など)
時期と場所 11月、中国・深圳で開かれるAPEC首脳会議に合わせて WSJ(読売新聞・ABEMA TIMES)
議題 ウクライナ情勢・戦争の終結 WSJ(読売新聞・FNN)
ウクライナの参加 含まれていない 読売新聞・ABEMA TIMES
米国の態度 トランプ氏は未同意。ただし前向きに応じる可能性もある 米政府高官(WSJ・読売新聞)
中国の態度 トランプ氏が同意すれば開催に反対しない WSJ(読売新聞)

表のとおり、開催が決まった事実はまだありません。予定されているのは11月の深圳APECの開催までで、トランプ氏のAPEC出席も3者会談の開催も確定していません。

ロシア側は「検討は未着手」と言っていた

ロシアのウシャコフ大統領補佐官は10月6日、3者会談について具体的な検討はまだ始まっていないと述べていました。

共同通信(熊本日日新聞掲載)によると、ウシャコフ氏は米中ロ3カ国の首脳会談について「非常に興味深いアイデア」だとしつつ、「まだ誰も具体的な検討に手を付けていない」と語りました。会談が行われる場合は、主催国の中国が主導するとの見方も示しています。プーチン氏は深圳で習氏と必ず会談する予定だとも述べました。この発言の3日後に、プーチン氏が電話会談で提案した、というのが今回の報道の流れです。

トランプ氏は米中ロ首脳会談に同意したのか

トランプ氏はまだ同意していないと報じられていますが、前向きに応じる可能性もあると伝えられています。

読売新聞によると、米政府高官はWSJに対し、トランプ氏は未同意だが、戦闘終結への意欲から前向きに応じる可能性もあると述べました。FNNとABEMA TIMESも、記事によれば「トランプ氏は会談に同意していない」と伝えています。Forbes JAPANによると、ロシア大統領府のペスコフ報道官は会談が実現する可能性を認めた一方、会談や想定される議題について、まだ「明確な認識」はないとWSJに語りました。

対ロ制裁法の適用を見送ったトランプ氏の説明

トランプ氏は18日、対ロ制裁法の適用見送りについて、ロシアを交渉の場から遠ざけたくないためだと説明しました。

読売新聞によると、トランプ氏はロシアへの経済圧力を強める制裁法の適用を見送ったことについて「ロシアを交渉のテーブルから遠ざけるようなことは何もしたくない」とSNSに投稿しました。ウクライナ侵略の終結に向けた交渉が大きく前進していると主張し、「署名は、望むときにいつでもできる」とも強調しています。Forbes JAPANは、トランプ氏が具体的な内容を示さずに「大きな進展」があったと主張し、人質に関する合意も含まれる可能性を示唆したと伝えました。制裁緩和には米国内でも異論が出ており、その経緯は「ロシア産軽油の制裁緩和に共和党も反発|フィッツパトリック法案と米ウ首脳の応酬」にまとめています。

中国は米中ロ首脳会談にどう関わるのか

中国は会場となるAPECの主催国で、トランプ氏が同意すれば3者会談の開催に反対しない意向だと報じられています。

読売新聞によると、8月末の中露首脳会談でも3者会談への言及があったとされます。ロシアのウシャコフ補佐官は、会談が行われる場合は主催国の中国が主導するとの見方を示しています。これはロシア側の見方で、中国政府が進行役を引き受けると表明したという報道はなく、実際に中国が主導するかは決まっていません。

(編集部分析)戦争の当事者であるロシアと、そのロシアを経済面で支えてきたと指摘される中国が、自国で開く国際会議の場で「和平の仲介役」の席に座る構図には注意が要ります。Forbes JAPANは、米情報機関が直近数カ月、ロシアと中国の双方がイランに攻撃目標のデータや兵器部品を提供していたことを示唆する評価を示してきたと伝えています。中立の仲介者とは言いにくい国が和平の枠組みを主導すれば、その中身が「力で変えた現状を追認する」方向に傾くおそれがあると評価できます。

ウクライナ抜きの米中ロ首脳会談で何が問題になるのか

最大の問題は、侵略を受けたウクライナが不在のまま、戦争の終わらせ方が大国間で話し合われる点です。

読売新聞は、侵略を受けるウクライナは不在となり、同国や支援する欧州の反発は必至だと伝えました。Forbes JAPANも、ゼレンスキー大統領を参加させずにウクライナに関する和平合意をどのように交渉できるのかは不明だと指摘しています。

トランプ氏はゼレンスキー氏への批判を強めている

トランプ氏は18日、ロシアの製油所を狙うウクライナの攻撃を理由に、ゼレンスキー氏を強く批判しました。

読売新聞によると、トランプ氏は、ロシアの製油所へのウクライナの攻撃が軽油価格を押し上げ、米国にも打撃を与えていると指摘し、ゼレンスキー氏を「そんなことを気にかけてもいないし、戦争を終わらせたがってもいない」と批判しました。Forbes JAPANによると、トランプ氏はロシアとウクライナに「エネルギー分野での停戦」を求めていましたが、ウクライナは10月17日にロシアの重要な石油ターミナルを狙った大規模なドローン攻撃を行いました。トランプ氏がウクライナに指導者の交代を求めた件は「トランプ氏「ウクライナは新しい指導者を」製油所攻撃で交代要求」で取り上げています。

欧州はなぜ反発するとみられるのか

欧州はウクライナを支援してきた側で、当事国抜きの和平協議は支援の前提を崩すため反発が見込まれます。

読売新聞が「反発は必至」と書いたのは、ウクライナと、同国を支援する欧州の両方についてです。トランプ氏はForbes JAPANが伝えた投稿の中で、欧州がゼレンスキー氏に多額の資金を与えていると述べ、それが戦争を終わらせない理由だと主張しました。米国と欧州の間で、戦争の終わらせ方をめぐる見方の違いがはっきりしてきています。

(編集部分析)当事国の頭越しに大国同士が線を引く和平は、侵略した側に「力で奪えば、あとは大国間の取引で認めてもらえる」という前例を残しかねません。これはウクライナだけの問題ではなく、隣国に領土をめぐる圧力を受けている国すべてに関わる問題だと評価できます。

米中ロ首脳会談の提案までの経緯(時系列)

8月末の中露首脳会談で言及、10月6日にロシアが検討未着手と説明、9日に提案、18日にWSJが報道という流れです。

報道で確認できる流れを日付順に並べると、次のとおりです。

時期 出来事 出どころ
2026年8月末 中露首脳会談で3者会談への言及があったとされる 読売新聞
2026年9月 ワシントンで米中首脳会談。トランプ氏が中国の対日輸出規制の撤回を求めたと香港紙が報道 共同通信(熊本日日新聞)
10月6日 ウシャコフ露大統領補佐官が3者会談を「非常に興味深いアイデア」としつつ検討は未着手と発言 共同通信(熊本日日新聞)
10月9日 米露電話会談でプーチン氏がAPECに合わせた3者会談を提案 WSJ(読売新聞・ABEMA TIMES)
10月17日 ウクライナがロシアの重要な石油ターミナルを狙った大規模ドローン攻撃 Forbes JAPAN
10月18日 WSJが3者会談の提案を報道。トランプ氏は対ロ制裁法の適用見送りを擁護し、ゼレンスキー氏を批判 読売新聞・Forbes JAPAN
11月 中国・深圳でAPEC首脳会議。プーチン氏と習氏は会談予定 共同通信(熊本日日新聞)

時系列で見ると、ロシア側は10月6日の時点で構想を「興味深い」と持ち上げ、9日に提案し、18日に報道で表に出る、という順に進んでいます。米国はその間に対ロ制裁法の適用を見送っています。

(編集部分析)制裁の見送りと会談の提案に因果関係があると確認されたわけではありませんが、日付を並べると、米露が歩み寄る流れの中で出てきた提案と読むことができます。

米中ロ首脳会談は日本にどう関わるのか

日本は参加国ではありませんが、対中・対露の安全保障と、中国の対日輸出規制の行方に直接関わります。

共同通信(熊本日日新聞掲載)によると、香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは10月8日、トランプ氏が9月にワシントンで行った習氏との首脳会談で、中国による対日輸出規制の撤回を求めたと報じました。中国はレアアース(希土類)を含む軍民両用品目の対日輸出規制を厳しくしているとされます。トランプ氏は、日本企業から部品の供給を受ける米国の産業にも影響が出ているとして、米中の「貿易休戦」に間接的に違反すると強調したと伝えられています。習氏は前向きな反応を示さなかったとされます。この報道は関係者の話に基づくもので、共同通信も独自には確認していません。

3者が会えば日本の話題も出るのか

議題として報じられているのはウクライナ情勢で、日本に関わる話が出るかどうかは分かっていません。

現時点で報じられている議題はウクライナ情勢と戦争の終結だけです。一方で、米中の間では対日輸出規制がすでに首脳間の話題になっていたと報じられています。米中ロの首脳が一堂に会する場が実現すれば、ウクライナ以外のテーマが持ち込まれる余地は残ります。

(編集部分析)日本にとって警戒すべきは、日本が席にいない場で、日本の安全保障や経済に関わる話が大国間で扱われうることです。米国が対日輸出規制の撤回を中国に求めたとの報道がありますが、規制の行方が米中の交渉に左右される構図は、日本の経済安全保障の観点では心もとないと言えます。レアアースなど重要物資の調達先を広げ、日本が自前の交渉材料を持つことが、この局面で問われていると評価できます。

米中ロ首脳会談の今後、何を見ればよいか

注目点は、トランプ氏が同意するか、ウクライナや欧州がどう動くか、APECで実際に3首脳が会うかの3つです。

開催までの見通しを、確かめる順に図にまとめると次のとおりです。

1. トランプ氏が同意するか

現時点は未同意。米政府高官は前向きに応じる可能性もあると説明

2. ウクライナと欧州の反応

当事国抜きの協議に反発は必至と報道。参加の扱いが焦点

3. 11月・深圳APEC

トランプ氏のAPEC参加と、3首脳が実際に同じ席に着くか

図の1が決まらなければ2と3には進みません。確かめる先は、トランプ氏の同意とAPEC出席ならホワイトハウスの発表、ロシア側の態度ならロシア大統領府(ペスコフ報道官・ウシャコフ補佐官)の説明、ウクライナ参加の扱いならウクライナ政府の発表、開催そのものなら主催国・中国の外交当局の発表です。日本の首相のAPEC出席の予定は、外務省のAPECのページと首相官邸の発表で確かめられます。

トランプ氏のAPEC出席は決まっているのか

ロシア側は10月6日の時点で、トランプ氏のAPEC参加は「100%の確約はない」との認識を示していました。

共同通信(熊本日日新聞掲載)によると、ウシャコフ補佐官はトランプ氏のAPEC参加について「まだ100%の確約はないようだ」と述べています。3者会談はトランプ氏が深圳に行くことが前提になるため、出席の正式発表がまず確かめるべき点になります。

米中ロ首脳会談のよくある質問

米中ロ首脳会談の報道について、読者が疑問に思いやすい点をまとめます。

Q. 開催が決まったかどうかは、どこで分かりますか?

A. 3首脳の政府の公式発表で分かります。米国はホワイトハウス、ロシアは大統領府、中国は外交当局が首脳の日程を発表します。WSJなどの報道は「提案があった」段階の情報で、開催の決定ではありません。

Q. ウクライナ抜きで和平合意を決められるのですか?

A. 決められるかは分かっていません。Forbes JAPANは、ゼレンスキー大統領を参加させずにウクライナに関する和平合意をどう交渉できるのかは不明だと指摘しています。仮に3首脳が話し合っても、戦っている当事国の同意がなければ戦闘は止まりません。

Q. APECとはどんな会議ですか?

A. アジア太平洋の国・地域が経済協力を話し合う枠組みで、日本・米国・中国・ロシアはいずれも参加しています。2026年は中国が議長で、首脳会議は11月に深圳で開かれます。首脳が同じ街に集まるため、会議の合間に2国間や少人数の会談が組まれることがあります。

新しい発表があれば、この記事の時系列表に追記していきます。

参考情報

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