【10/23】タイムズカー集団訴訟へ|見舞金3000円は妥当か・参加方法

カーシェア「タイムズカー」の情報流出で、運営するパーク24は2026年10月23日、運転免許証などの画像データ約146万件で外部へ送られた痕跡が見つかったとして、該当する利用者に見舞金3,000円相当を渡すと発表しました。同じ日、被害者の登録を受け付けてきた牧野裕貴弁護士(東京弁護士会)は「金額は被害に見合っていない」として、パーク24などを相手に東京地裁へ集団訴訟を起こす方針を明らかにしています。この記事では、見舞金の対象者、3,000円は過去の流出事件と比べて妥当なのか、集団訴訟に入るとどうなるのか、自分が対象か確かめる方法と今やることを、パーク24の発表と報道をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 見舞金の対象:流出した約662万件のうち、免許証などの画像が外部へ送られた痕跡のある約146万件だけです。渡し方は検討中です。
  • 3,000円の位置づけ:会社が全員に配るお詫びとしてはベネッセの500円より高い一方、過去の判決が認めた額(弁護士費用を含む)には1人3,300円〜3万5,000円の幅があります。
  • 集団訴訟に入るには:弁護士側の専用サイトで無料登録し、あとで委任書類を出します。費用は後日案内、提訴の時期は未定です。
目次

タイムズカーの集団訴訟とは|10月23日に何が決まったか

パーク24が見舞金3,000円を発表し、その額は低すぎるとして被害者側の弁護士が東京地裁への集団提訴を表明しました。

タイムズカーのWebシステムは2026年9月25日に第三者の不正アクセスを受け、会員と退会した人の情報が流出しました。パーク24は外部の専門機関による調査(フォレンジック調査)を終え、10月23日に結果と今後の対応を公表しています(パーク24 第5報)。

パーク24の発表:146万件に3,000円、特別損失55億円

免許証などの画像が外部へ送られた痕跡のある利用者に、3,000円相当の現金か金券を渡すというのがパーク24の決定です。

発表では、暗号化して保管していた本人確認書類の画像のうち1,464,800件で、攻撃者によるアクセスと外部送信の痕跡が確認されました。時事通信によると見舞金の総額は約44億円の見込みです。パーク24は見舞金と諸対応の費用として、2026年10月期に特別損失55億円を計上する見込みだとし、最終利益の予想を440億円から385億円に下げました(パーク24「特別損失の計上および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」)。見舞金の内容と渡し方は「現在検討中」で、決まり次第、対象者へ案内するとしています。

弁護士側:東京地裁に提訴する方針、登録は9万人超

牧野弁護士は、パーク24などに損害賠償を求める集団訴訟を東京地裁に起こすと表明し、提訴の時期と原告数は未定としています。

読売新聞によると、牧野弁護士が9月30日に開いた被害者の登録サイトには、10月23日午後7時時点で9万人超が登録しました。牧野弁護士は取材に「示された金額は被害に見合っていない。画像以外の情報漏えいの被害者も補償されるべきだ」と述べ、会社が画像を退会後も7年間持ち続けていた点も問題にするとしています(読売新聞オンライン)。時事通信の取材には「成り済ましに対する不安や(被害)申告などの対応を考えると低過ぎる」と話しました(時事通信)。

ここまでの流れを日付順に並べると、次のようになります。

9月25日 不正アクセスを検知。経路を遮断し、パーク24が第1報
9月28日 約660万件の流出、免許証画像は約160万件のおそれと公表
9月30日 牧野法律事務所が集団訴訟の登録サイトを開設
10月16日 免許証画像の保有ルールを見直し、10月末までの削除を発表
10月23日 調査結果と見舞金3,000円を発表。弁護士側が集団提訴の方針

見舞金の発表と提訴の表明が同じ日に重なったことで、3,000円が妥当かどうかが争点の中心になりました。

見舞金3,000円の対象者は誰か|662万件のうち146万件

見舞金の対象は、暗号化された免許証などの画像が外部へ送られた痕跡のある約146万件で、流出全体の約4分の1にとどまります。

パーク24の調査結果では、氏名・住所・生年月日・運転免許情報などが外部へ送られた痕跡のあるアカウントは6,628,007件です。そのうち画像の扱いで、見舞金の対象が分かれます。

区分(タイムズカーWebシステム) 件数 見舞金
氏名・住所・生年月日・電話番号・メールアドレス・運転免許情報が外部送信された 6,628,007件 下の2行はこの内数。画像の流出がなければ対象外
暗号化した本人確認書類の画像にアクセスされ、外部送信の痕跡あり 1,464,800件 3,000円相当の対象
画像にアクセスされたが、外部送信の痕跡なし 891,602件 対象外

表のとおり、画像にアクセスされた約89万件と、画像以外の情報だけが流出した人は、今回の見舞金の対象に入っていません。

画像は暗号化されていたが「将来の復号は否定できない」

暗号化されていたのですぐには見られないが、将来の復号の可能性は否定できない、というのがパーク24の説明です。

対象を外部送信の痕跡がある人に絞ったのは、この「復号されるおそれ」を理由にしたためです。発表時点で、流出した情報が売買・公開された事実は確認されていないとしています。

対象の線引きについては、次の疑問が多く出ています。

Q. 画像を出していない会員や、外部送信の痕跡がなかった人は何ももらえないのですか。

A. 10月23日の発表時点では見舞金の対象外です。パーク24は、新たな事実が分かれば対象者へ追加の案内をして対応策を考えるとしています。牧野弁護士は画像以外の被害者も補償されるべきだと主張しています。

線引きの外にいる人ほど、訴訟の行方が気になるはずです。次に、3,000円という金額そのものを過去の例と比べます。

見舞金3,000円は妥当か|過去の流出事件の賠償額と比べる

会社が自主的に配るお詫びとしては高めですが、裁判で認められた額と比べると、画像の流出には足りないという見方もできます。

過去の大きな流出事件で、会社のお詫びと、裁判所が認めた1人あたりの額を並べると次のとおりです。

事件 会社のお詫び 判決の1人あたり認容額(弁護士費用を含む)
タイムズカー(2026年) 3,000円相当(約146万件) 提訴前
ベネッセ(2014年・約2,895万件) 500円相当の電子マネーか図書カード 3,300円(慰謝料3,000円+弁護士費用300円、東京地裁 2018年12月27日)
Yahoo!BB(2004年) — 5,500円(大阪高裁 2007年6月、最高裁で確定)
TBC(エステの顧客アンケート) — 3万5,000円(迷惑メールなどの二次被害が出た事案。二次被害のない人は2万2,000円、東京地裁 2007年2月8日)

判決の額は、同じ「流出」でも1人3,300円から3万5,000円まで10倍以上の開きがあります。ただし、会社が任意に配る見舞金と、裁判で争って認められる損害賠償は性質が違い、個別の判決額がそのまま今回の賠償額の見込みになるわけではありません。出典は、ベネッセのお詫びがITmedia NEWS、各判決の額が弁護士の解説記事(ScanNetSecurity)とINTERNET Watchです。

判決の額は「漏れた情報の中身」と「二次被害」で決まる

判決では主に、漏れた情報の秘匿性、二次被害の有無、会社の事後対応などが考慮され、額が分かれています。

ベネッセの判決では、氏名や生年月日はある程度ほかの人に知られることが想定される情報で、秘匿性は高くないとされました。TBCは、エステの施術内容などを含むアンケートで、迷惑メールなどの二次被害も出ていた事件です。免許証の画像には顔写真・住所・生年月日・免許証番号がそろっており、氏名と住所だけの流出よりは重く見られる余地がある一方、今回は暗号化されていて、発表時点で悪用も確認されていません。どちらに重みが置かれるかが、判決の額を左右しそうです(編集部分析)。

再交付にかかった実費は3,000円を超える例も

テレビ朝日の取材では、免許証の再交付に行った被害者が交通費を含めて5,540円かかったと話しています。

この男性は会社で半日休みを取って再交付の手続きに行き、コールセンターに実費の負担を求めたところ、補償しないとの回答だったといいます。別の被害者は、信用情報機関(JICCやCIC)への本人申告の登録料も自己負担だったと話しています(テレビ朝日「グッド!モーニング」10月24日放送)。自分で守りの手を打った人ほど、3,000円では実費を下回る形になります(編集部分析)。

タイムズカーの集団訴訟に入るとどうなるか|参加方法・費用・期間

専用サイトでの登録は無料で、委任書類を出した時点で弁護士との契約が成り立ち、その後に提訴という順番です。

牧野法律事務所のタイムズカー情報漏洩集団訴訟の専用ページによると、手続きは次の流れです。

1.専用ページで無料登録
2.案内メールを受け取る(1週間以上かかることも)
3.費用の案内に合意し、委任書類を出す
4.事務所が提訴を判断

登録はあくまで参加の意思表示で、この段階では費用も契約も発生しません。

登録で入力するもの・しないもの

登録はフォームから無料でき、免許証番号やカード情報の入力は求められていません。

専用ページによると、会員だけでなく退会した人も対象で、実際の被害がない人も参加できる可能性があるとしています。法人会員の場合は、利用者として登録された個人がそれぞれ原告になる形を検討中です。なお、このページはタイムズカーやパーク24とは無関係で、事務所が独自に開設したものだと明記されています。

費用と請求額は「後日案内」

着手金や成功報酬などの費用は示されておらず、案内された費用に合意しない限り支払いは発生しないとしています。

請求額も示されていません。専用ページは参考として過去の判決の額を載せていますが、結果や金額は保証しないと書いています。日本の集団訴訟は、参加する一人ひとりが原告として弁護士に委任する形で、米国のように手を挙げていない人まで自動的に含まれる仕組みではありません(編集部分析)。

提訴の時期は未定、判決までは年単位

提訴の時期は未定で、委任書類が一定数集まり証拠を整理できた段階で判断するとしています。

事務所は、提訴しないと決めた場合は登録者全員に連絡し、登録情報を消すとしています。2014年のベネッセの流出では、東京地裁の判決が出たのは2018年12月でした。大規模な流出の訴訟は、判決まで年単位でかかると見ておくのが現実的です(編集部分析)。

参加を考えるうえで一番気になる点を、Q&Aで補います。

Q. 見舞金の3,000円を受け取ったら、集団訴訟に参加できなくなりますか。

A. 受け取ること自体ではなく、受け取るときに「追加の請求をしない」ことへ同意するかどうかが分かれ目になります。専用ページは、金券などの受け取り時にその同意を求められる場合があるとして、同意しないよう案内しています。パーク24の渡し方はまだ決まっていないので、案内が届いたら同意の文面を確かめてください。

なお、専用ページは、時効などの期限の管理は委任契約の後に行い、登録段階では一般的な案内にとどまるとしています。登録だけでは委任契約は成り立たない点も押さえておいてください。

タイムズカーの流出で自分が対象か確かめる方法と今やること

パーク24は対象者へ個別に通知しているので、まず届いたメールを確かめ、分からなければ専用窓口に問い合わせます。

パーク24は9月28日から既存会員へ、10月1日から退会した人へ、10月2日から法人会員へ順に案内を送ってきました。問い合わせ窓口はフリーダイヤル0120-25-8924(24時間)と問い合わせフォームです(パーク24「不正アクセスに関する調査結果および今後の対応に関するお知らせ」)。

パーク24を名乗るメールやSMSに注意する

パーク24は、同社を装ったメール・SMS・電話への注意を呼びかけ、パスワードやカード情報を聞くことはないとしています。

見舞金の案内が届く時期は、見舞金を口実にした偽の連絡が出やすい時期でもあります。リンクを押す前に送り主を確かめ、迷ったら公式サイトから窓口を開くのが安全です。流出した情報には氏名・住所・電話番号が含まれるため、宛名入りの偽メールでも本物と決めつけないでください。

免許証の再交付や信用情報への申告は自分で判断する

再交付や信用情報機関への本人申告は、いまのところ費用が自己負担で、するかどうかは各自の判断になります。

免許証の画像を本人確認に使う仕組みそのものについては、金融庁が画像による本人確認の廃止を前倒しするよう要請しています。経緯は「免許証画像の本人確認、金融庁が廃止前倒し要請」にまとめています。

パーク24はなぜ免許証画像を退会後7年も持っていたのか

不正利用の調査や問い合わせへの対応に使うためで、パーク24は流出を受けて、登録確認が終わったらすぐ消すルールに改めました。

パーク24は、会員の免許証などの画像を会員期間中と退会後7年間、暗号化して保有していました。10月16日の第4報で保有ルールを見直し、手元の画像は本人の申し出の有無にかかわらず2026年10月末までに削除するとしています(パーク24 第4報)。

退会後7年の保有ルールにより、すでに退会した人の画像も流出の対象に含まれました。使い道がある情報でも、持ち続けるほど漏れたときの被害は広がります。牧野弁護士がこの点を責任追及の柱に据えるのは、訴訟の争点として筋が通っており、会社側が「社内基準どおりに運用していた」と説明するだけでは納得は得にくいと考えられます(編集部分析)。

相次ぐ情報流出の中でのタイムズカー|ほかの事件との違い

タイムズカーの特徴は、氏名や住所に加えて免許証の画像という本人確認の材料そのものが外部へ送られた点です。

10月23日には佐川急便が最大約5,323万件、パナソニックのグループ会社が約33万人分の流出を発表しました。10月初めには焼肉きんぐの運営会社が約1,078万件の流出を公表しています。件数では佐川急便が大きいものの、送り状の氏名・住所・電話番号が中心で、本人確認書類の画像は含まれていません。

暗号化された画像でも、将来の悪用を完全には否定できません。今回の見舞金と訴訟の結果は、ほかの企業が流出時にどこまで補償するかに影響する可能性があります(編集部分析)。

タイムズカー集団訴訟のよくある質問

本文で触れなかった周辺の疑問を3つ取り上げます。

Q. クレジットカードの番号は漏れていますか。

A. 全桁とセキュリティコードは漏れていません。パーク24はカード番号の全桁を持たない仕組みで、タイムズクラブ側で番号の下4桁28件が外部へ送られたとしています。

Q. 専用サイトに登録しただけで、時効の心配はなくなりますか。

A. なくなりません。専用ページは、時効などの期限の管理は委任契約の後に行うとしています。登録は参加の意思表示で、委任書類を出すまで契約は成り立ちません。

Q. 駐車場しか使っていなくても対象になりますか。

A. なることがあります。タイムズビジネスサービスに「カンタン入会」で入り、駐車場だけをカード払いで契約している人の情報も、タイムズカーのWebシステムで管理していたため流出の対象に含まれています。

最後に、いま手元でできることを順に並べます。

  1. パーク24から届いた通知メールで、自分のどの情報が漏れたかを確かめ、削除せずに保存する(今後の続報も保管する)
  2. 免許証の再交付などにかかった費用の領収書や、カード払いの利用明細を残しておく
  3. 訴訟への参加を考える人は、弁護士側の専用ページで費用と委任の条件を確かめる
  4. 見舞金の案内が届いたら、「追加の請求をしない」といった同意の文面がないかを読んでから受け取る

見舞金の渡し方と提訴の時期が決まり次第、この記事に追記します。

参考情報

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