【10/27】お名前.com デスクトップクラウドに正午の攻撃予告|GMOが「PCの電源を切って」と求めた理由と補償の中身

【10/27】お名前.com デスクトップクラウドに正午の攻撃予告|GMOが「PCの電源を切って」と求めた理由と補償の中身

GMOインターネットは2026年10月27日、不正アクセスを受けたFX自動売買向けサービス「お名前.com デスクトップクラウド」の利用者に、同日12時までにバックアップを取ったうえでPCをネットから切り離し、電源を落としてコードを抜くよう求めました。攻撃者とみられる者が、27日12時に顧客の情報を公開し、ランサムウェア(データを暗号化して身代金を求める不正プログラム)で攻撃すると予告しているためです。この記事では、12時を過ぎた今の状況、なぜ手元のPCまで止める必要があるのか、利用者がいまやること、見舞金と補償の中身を、GMOの公式発表と報道をもとに整理します。情報は10月27日12時20分時点のものです。

この記事でわかること

  • 27日のお願い:GMOが第8報で利用者に求めた4つの対応と、12時を過ぎたあとの扱いが分かります。
  • PCを止める理由:クラウドの中の被害が、接続していた手元のPCにどう及び得るのかが分かります。
  • お金の話:一律5,000円の見舞金と、不正取引の損失補償で「出るもの・出ないもの」を表で確かめられます。
  • 国の動き:GMOが求めた能動的サイバー防御と、政府の緊急対策の関係が分かります。
目次

お名前.com デスクトップクラウドで10月27日に何が起きたのか

GMOは27日に第8報を出し、12時の攻撃予告に備えてPCのバックアップ、ネット切断、電源オフを利用者に求めました。

ITmedia PC USERによると、同社は第8報で「バックアップを取得したうえで、ネットワークを切断して電源を落とし、PCにつながっているコードを抜く」よう求め、あわせてウイルス対策ソフトでのフルスキャン、取引口座のパスワード変更、多要素認証の有効化を改めて呼びかけました。攻撃者の要求には応じない方針で、警察などの関係機関と連携しているとしています。

GMOが第8報で求めた4つの対応

求めたのは、端末のフルスキャン、バックアップ、12時前のネット遮断と電源切断、アカウントの保護の4つです。

GMOの呼びかけを順に並べると次のとおりです。

順 GMOのお願い 中身
1 端末のウイルスチェック ウイルス対策ソフトでフルスキャンをかける
2 バックアップ 大事なデータを外部に退避する(扱いに注意)
3 ネット遮断と電源切断 27日12時前にネットを切り、電源を落としてコードを抜く
4 アカウントの保護 取引口座のパスワード変更と多要素認証。GMOがパスワードや認証コードを尋ねることはない

1〜3は12時より前に済ませる手順として示されたものです。すでに電源を落としたPCを、スキャンやバックアップのために再起動したりネットにつなぎ直したりするのは避け、GMOの次の案内を待つのが安全です(編集部の補足)。4のアカウントの保護は、FXに使っていない別の端末から12時を過ぎても続けられます。

12時を過ぎた今の状況

編集部が12時20分時点で確認した範囲では、攻撃者が情報を公開した、PCへの攻撃が起きたと伝える公式発表や報道はありません。

GMOは10月26日の第7報で、回収した端末をホワイトハッカーチームが解析しており、対策が分かればメールと同じページで知らせるとしています。電源を落としたPCは、GMOから対処方法の案内が出るまで、不用意にネットへつなぎ直さないのが安全です。なお、GMOは攻撃者が「同社やお客様に関する情報と称するもの」を公開する可能性があり、その中には事実と異なる内容が含まれるおそれがあると注意しています。

なぜ手元のPCの電源まで切る必要があるのか

攻撃者が、クラウドに接続していた利用者のPCそのものを攻撃すると予告しているためです。

PCが実際に侵害されたかは確認されていません。

お名前.com デスクトップクラウドは、クラウド上のWindowsデスクトップに手元のPCから接続して使うサービスです。FXの自動売買ツール(MT4・MT5など)を24時間動かすために使われてきました。GMOの10月24日の開示によると、攻撃者からは「本サービスおよび本サービスに接続したお客様のPCに関する情報の不正公開と、ランサムウェア攻撃の実行」を行うとの連絡が来ています。

攻撃者の主張と、GMOが確認したことの違い

GMOが認めたのは不正アクセスと情報の持ち出しで、手元のPCに入り込んだという話は攻撃者側の主張にとどまります。

確認済みのことと未確認のことを分けると次のようになります。

項目 中身 誰が述べたか
不正アクセスと情報の持ち出し システムにセキュリティ上の問題があり、顧客の情報が外部に持ち出された GMO(確認済み)
取引口座の不正操作 一部の顧客から身に覚えのない取引の報告 GMO(報告を受けている)
手元のドライブへの接触 リモート接続の機能を通じて顧客PCのドライブに触れ、ファイルを写したとする 攻撃者の主張(未確認)
70社超の口座 国内外の70を超える証券・FX会社の口座で不正操作を続けるとする 攻撃者の連絡(GMOが開示)

3行目はセキュリティ対策Labが攻撃者の声明として伝えた内容で、本当に侵入した者の声明か、ログが本物か、どの経路で侵入したかは確認されていません。

(編集部分析)それでもGMOが電源を落とすよう求めたのは、PCの侵害が確認できない段階でも、最悪の場合に備えて被害の入り口を断つためと読めます。

12時を過ぎた利用者がいまやることは何か

接続に使ったPCはネットから離して電源を切った状態を保ち、口座の確認とパスワード変更はFXに使っていない別の端末で行います。

手元のPCの状態で、やることが分かれます(編集部の整理)。

手元のPCの状態 やること
12時前に電源を落とした 再起動もネットへのつなぎ直しもせず、GMOの対処方法の案内を待つ
まだ電源を切っていない GMOの要請どおり、すぐにネットを切って電源を落とし、コードを抜く。12時を過ぎた今、バックアップのためにネットへつなぎ続けることは勧められない
接続に使っていない別の端末 下の口座の確認とパスワードの変更に使う

別の端末でやることは、GMOが第3報で求めたお願いのうち、次の4つです。

1. 取引ツールのパスワード
取引ツールとサーバー内に保存した認証情報を変える
2. 別の端末で口座を確認
取引履歴と残高、身に覚えのない取引
3. 口座のパスワード
取引口座と、同じパスワードを使う他のサービス
4. 二要素認証とセッション切断
第3報は、ログイン中のセッションを全て切ること(取引先への連絡を含む)も求めている

身に覚えのない取引を見つけたら、取引している証券会社やFX会社にすぐ連絡します。GMOの補償では、取引の日時・内容・損失額を確認できる資料が求められます。取引先に返金を相談するときに要る資料は、各社に確かめてください。

あわせて、便乗した詐欺に注意が要ります。GMOはメールや電話でパスワード、カード情報、口座情報を尋ねることはないとしており、「被害金を取り戻す」などとして費用を求める連絡には応じないよう呼びかけています。問い合わせ窓口は電話03-5456-2560(24時間受付)です。

不正アクセスはいつから、どう広がったのか

10月19日の問い合わせで調査が始まり、21日に全サーバーを止め、24日に情報の持ち出しを認めるまで約1週間で事態が進みました。

GMOの発表と報道をもとに、主な出来事を日付順に並べます。

日付 出来事
10月19日 利用者からの問い合わせで調査を開始
10月20日 一部のサーバーで不正なプログラムの設置を確認。新規申込とコントロールパネルを停止
10月21日 午前4時から全プランのサーバーを順次停止。同日、脅迫メールを受信
10月22日 警察に相談。取引口座のログイン情報が取得され不正利用された可能性を公表
10月23日 影響の可能性があるサーバーを26,739件と公表
10月24日 情報の外部持ち出しを認め、見舞金・補償・代替サービスを発表。政府に能動的サイバー防御の適用を要請
10月25日 利用者に端末調査への協力を依頼。社員が全国で端末を回収
10月26日 熊谷正寿代表が要求額を公表。第7報で27日12時の予告を公表
10月27日 第8報でPCの電源を落とすよう要請

26,739件は「対象となり得る件数」で、実際に不正アクセスや情報の取得が確認された件数ではないと第3報に明記されています。決済情報(クレジットカード情報を含む)はサーバー上で持っていないとしています。

攻撃者は何を要求しているのか

報道によると、要求は当初5,000万ドル(約80億円)で、その後27日12時を期限に100万ドルへ変わりました。

ITmedia NEWSによると、熊谷代表は26日、21日午後5時を期限に5,000万ドルの要求があったと公表しました。その後、攻撃者とみられる人物は27日12時を期限に100万ドル(ITmedia NEWSは約1億6,000万円、セキュリティ対策Labは約1億5,700万円と換算)を求め、応じなければ顧客情報の公開やランサムウェア攻撃を行うと予告したと伝えています。GMOは、要求に応じても取得された情報の削除や不正利用の防止が保証されないとして、支払わない方針です。脅迫の通信記録などの証拠は警察のサイバー犯罪対策部門に提出し、刑事事件としての捜査を求めています。

ASCII.jpなどは、熊谷代表が、社内のホワイトハッカーがセキュリティ上の課題を事前に指摘していたのに防げなかったとして謝罪したと報じています。

見舞金5,000円と損失補償では何が出るのか

今の利用者全員に一律5,000円が出て、不正取引で確定した損失は別に補償されます。相場の値動きによる損は対象外です。

見舞金の対象は、開示の言葉では「本サービスを現在ご利用されているすべてのお客様」です。

10月24日の開示の中身を、出るものと出ないものに分けると次のとおりです。

対応 対象と中身 案内の期限
見舞金 サービスを現在利用しているすべての客に、金銭的被害の有無を問わず一律5,000円(補償とは別) 10月30日23:59までにメール
代替サービス 独立したクラウド基盤の別サービスへ乗り換えると6か月無償。同意なしに移行はしない 10月30日23:59までにメール
補償の対象 GMOが不正取引と認めた取引の実現損失(取引の差損と手数料など) 申請方法は11月6日までに案内
補償の対象外 市場の変動による損失、得られたはずの利益、その他の間接的な損害 ―

取引所などから返金があれば、GMOはその分を差し引いた残りを払い、取引所が返金に応じなくても補償の対象となる損失は払うとしています。申請には取引の日時・内容・損失額が分かる資料が要るため、今のうちに画面の記録を残しておくと手続きが早くなります。自分が見舞金の対象か、受け取りの手続きはどうするかは、10月30日23:59までに届く登録メールで確かめ、補償の申請手順は11月6日までにGMOの公式サイトと登録メールで確かめます。

補償の確認で求められるもの

本人確認書類と、取引履歴を見るための閲覧専用パスワードの提示を求めることがあると開示に書かれています。

GMOは、MT4・MT5などの閲覧専用パスワード以外のパスワードや暗証番号を補償の手続きで尋ねることはないとしています。それ以外を聞いてくる連絡は、GMOを名乗っていても疑ってかかるべきです。

GMOが求めた能動的サイバー防御と政府の動き

GMOは10月24日に能動的サイバー防御の適用を政府に求め、首相は26日、攻撃全体への緊急対策づくりを指示しました。

能動的サイバー防御は、重大な攻撃を未然に防ぐため、政府が攻撃元のサーバーなどに入り込み無害化することも認める仕組みです。GMOの開示では、被害の拡大と同種の攻撃を防ぐため、この措置の実施を含めて政府の関係機関への要請を進めるとしています。

高市早苗首相は10月26日に開いたサイバーセキュリティに関する関係閣僚会議で、来週中を目途に政府の緊急対策パッケージをまとめると表明しました。これは企業へのサイバー攻撃が相次いでいることへの政府全体の対策で、今回の攻撃に対して能動的サイバー防御の措置が実際に取られたという発表は、12時20分時点でありません。会議の中身は「サイバー緊急対策パッケージ、高市首相が来週中めど指示」で整理しています。

(編集部分析)民間のサービスが攻撃を受けたとき、まず問われるのは事業者自身の守りであり、社内で課題が指摘されていたのであればその責任は重いと評価できます。ただし、攻撃者とみられる者が国内外70超の証券・FX会社の顧客口座への不正操作の継続を予告し、日本の利用者のPCまで人質に取ろうとしているのが事実なら、その攻撃はもはや1社の不祥事の枠を超えています。攻撃者の正体はまだ分かっていませんが、どこの誰であっても、国民の財産を狙う攻撃に国が手を出せないままでは主権国家として課題が残ります。事業者の責任追及と、国が攻撃元を止める力を持つことは二者択一ではなく、両方を進めるべきだと考えられます。日本の通信やデータを日本人自身の手で守れるかが問われています。

中国製のAIを使ったとみられる攻撃が国内企業を狙っていた件は「国内の不正アクセスに中国製AI「ARTEX」」で取り上げましたが、今回の攻撃者との関係は分かっていません。

お名前.com デスクトップクラウドのよくある質問

利用者から出そうな疑問を、10月27日12時20分時点で分かっている範囲でまとめます。

Q. 12時までに電源を切れなかったら、もう手遅れですか?

A. 手遅れとは限りません。12時20分時点で、実際に攻撃が起きたという発表はありません。今からバックアップを取るためにネットにつなぎ続けるより、すぐにネットを切って電源を落とし、GMOの案内を待つほうが安全です(編集部の補足)。

Q. 代替サービスはいつから申し込めますか?

A. まだ決まっていません。GMOは提供開始の時期と申込方法、乗り換えない人の契約と料金の扱いを、10月30日23:59までにメールで知らせるとしています。今の基盤のままでの再開はしない方針です。

Q. クレジットカードの情報は漏れましたか?

A. GMOは、クレジットカード情報を含む決済情報はサーバー上で保有していないとしています。注意が要るのは、サーバー内の取引ツールやブラウザに保存していた証券・FX口座のログイン情報で、カードの明細よりも口座の取引履歴と残高を先に確かめてください。

Q. 攻撃者を名乗るメールが来たら?

A. 本文のリンクや添付ファイルを開かず、返信もしないでください。中身の真偽は、GMOの公式のお知らせや問い合わせ窓口で確かめます。GMOは、攻撃者が事実と異なる情報を公開するおそれがあるとしています。

止めたPCを安全に使い直す方法、見舞金と補償の手続き、代替サービスの申込方法は、これからお名前.comのお知らせ一覧と登録メールで順に案内される見込みです。

参考情報

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