【10/28】千鳥屋本家が破産移行へ|千鳥饅頭の店舗と負債22億円の経緯
「千鳥饅頭(まんじゅう)」で知られる福岡県飯塚市の菓子製造販売「千鳥屋本家」が、民事再生の手続きを打ち切られ、破産へ移る見込みになりました。東京商工リサーチ福岡支社が10月28日に明らかにしたもので、福岡地裁の決定は10月13日付です。負債はグループ4社の合計で約22億7270万円です。
この記事では、10月29日朝の時点で報道されている内容をもとに、何が決まったのか、負債の中身、2月の民事再生申請から破産移行までの経緯、親族の支援が頓挫した理由、店舗の営業、そして名前の似た「千鳥饅頭総本舗」「千鳥屋宗家」との違いを整理します。破産手続きはまだ始まっておらず、今後の扱いは決まっていない点が多いため、分かっていることと分かっていないことを分けて書きます。
この記事でわかること
- 何が決まったか:福岡地裁が10月13日付で再生手続きの廃止と保全管理命令を出し、千鳥屋本家とグループ3社は破産へ移行する見込み
- なぜ行き詰まったか:物価高などで資金繰りが悪化。申請後に親族企業「千鳥屋宗家」が大半の店舗や工場を引き継いだが、権利関係などが複雑で立て直しは困難と判断された
- 店と他社への影響:店舗は10月28日時点で通常どおり営業。チロリアンの「千鳥饅頭総本舗」は別会社で影響はないとされる
千鳥屋本家の破産移行は福岡地裁が再生手続きを廃止したため
福岡地裁が10月13日付で千鳥屋本家の再生手続きの廃止を決め、会社は破産手続きへ移る見込みになりました。
共同通信によると、東京商工リサーチ福岡支社は28日、千鳥屋本家とグループ3社が福岡地裁から再生手続きの廃止と保全管理命令を受けたと発表しました。保全管理命令は、破産手続きが始まるまでの間、会社の財産を裁判所が選んだ保全管理人に管理させる命令です。民事再生では経営陣が会社を動かしながら再建を目指しますが、この命令が出ると、財産を勝手に動かせなくなります。
西日本新聞は、東京商工リサーチ福岡支社の話として、決定は13日付で、破産手続きに移行する見込みだと伝えています。決定から公表まで2週間ほどの開きがあり、報道が出たのは28日でした。
現時点で報じられている数字と日付を、発表元ごとにまとめると次のとおりです。
| 項目 | 内容 | 出どころ |
|---|---|---|
| 裁判所 | 福岡地裁 | 共同通信・西日本新聞 |
| 決定の内容 | 再生手続きの廃止と保全管理命令 | 共同通信(東京商工リサーチ福岡支社の発表) |
| 決定の日付 | 10月13日付 | 西日本新聞(同支社による) |
| 対象 | 千鳥屋本家とグループ3社の計4社 | 共同通信 |
| 負債総額 | 4社合計で約22億7270万円 | 共同通信・西日本新聞 |
| 今後 | 破産へ移行する見込み | 共同通信・西日本新聞 |
| 店舗 | 28日現在、通常どおり営業 | 西日本新聞 |
「破産へ移行する見込み」は東京商工リサーチの見立てで、10月29日朝の時点で破産手続き開始の決定が出たとの報道は見当たりません。開始が決まれば、破産管財人が選ばれ、店や財産の扱いが決まっていきます。
千鳥屋本家の負債は4社合計で約22億7270万円
負債はグループ4社の合計で約22億7270万円で、2月の申請時に公表された約22億6800万円とほぼ同じ規模です。
2月の申請時、東京商工リサーチは4社の負債を会社ごとに公表していました。同じ「千鳥屋本家」の名を持つ会社が2社あり、1社は飯塚市の菓子製造販売、もう1社は同じ飯塚市の菓子製造です。内訳は次のとおりです(2026年3月2日の東京商工リサーチの記事より)。
| 会社 | 所在地 | 事業 | 負債(2月時点) |
|---|---|---|---|
| (株)千鳥屋本家 | 飯塚市本町 | 菓子製造販売 | 約7億3800万円 |
| (株)千鳥屋本家(同名の別法人) | 飯塚市 | 菓子製造 | 10億5000万円 |
| (株)チロリアン | 飯塚市 | 菓子原料販売 | 約4億1800万円 |
| (有)一実 | 福岡市中央区 | 菓子製造販売 | 約6240万円 |
| 4社合計 | ― | ― | 約22億6800万円 |
表の4社の内訳を単純に足すと約22億6840万円になり、公表された合計の約22億6800万円とわずかにずれます。各社の数字が概数のためです。10月の発表では合計が約22億7270万円とされ、公表された概数同士で比べると約470万円多くなっています。差の理由は報道で説明されておらず、会社ごとの10月時点の内訳も公表されていません。
売上の推移も東京商工リサーチが公表しています。2014年3月期は約8億円でしたが、2025年3月期は約5億2500万円まで減りました。店舗数はピーク時の65店から、2025年9月時点で本店を除き44店になっていました。同社は、コロナ禍で借りた分を含む金融債務が資産を上回っていたと説明しています。
民事再生から破産への経緯は2月申請・10月廃止の約8か月
千鳥屋本家は2月27日に民事再生法の適用を申請し、約7か月半後の10月13日付で再生手続きを打ち切られました。
民事再生は、会社をつぶさずに借金を減らしてもらい、事業を続けながら立て直す手続きです。申請時は「親族が経営する会社がスポンサーとなり、営業を続ける」と説明されていました(読売新聞・東京商工リサーチ)。その再建計画がまとまらないまま、裁判所が手続きの廃止を決めた流れです。
申請から破産移行の見込みまでを、日付順に並べます。
2月の申請の段階では「営業を続けながら再建する」道筋が示されていましたが、10月にはそれが閉ざされたことになります。次の見出しで、なぜ再建がうまくいかなかったのかを見ていきます。
再生が行き詰まった理由は親族支援が権利関係の問題で頓挫したため
親族企業の千鳥屋宗家が支援に乗り出したものの、権利関係などが複雑で、立て直しは困難と判断されました。
共同通信(日刊スポーツ掲載の全文)によると、民事再生法の適用申請後、千鳥屋宗家(兵庫県西宮市)が大半の店舗や工場を引き継ぎましたが、権利関係などが複雑で立て直しが困難と判断されたといいます。西日本新聞も、宗家の支援が権利関係の問題などで手続き廃止に至ったと伝えています。
そもそもの経営悪化について、東京商工リサーチは、コロナ禍で借りた分を含む金融債務が資産を上回り、資金繰りが行き詰まったと説明していました。西日本新聞は、物価高などを背景に資金繰りが悪化したと伝えています。共同通信も、新型コロナ禍や物価高の影響で資金繰りに窮したとしています。
立て直しを難しくした「権利関係」が、商標なのか、店舗や土地なのか、ほかの何なのかは、10月29日朝の時点で報道されていません。ただ、千鳥屋の各社は同じ一族から分かれた経緯があり、商品名をめぐる訴訟も起きています。読売新聞は、戦後に事業を広げた女性が1995年に亡くなったあと、親族がそれぞれ事業を引き継ぎ、千鳥饅頭やチロリアンの名が入る菓子を売る会社が複数ある状態になったと伝えています。
(編集部分析)同じ一族から分かれた会社どうしで商品名をめぐる訴訟まで起きていたことを踏まえると、店舗や工場を引き継いでも、ブランドや財産の権利の整理が残ったことがうかがえます。ただし具体的に何が折り合わなかったのかは公表されていません。
Q. 再生手続きの廃止とは、再生が失敗したという意味ですか?
A. 民事再生での立て直しを裁判所が打ち切ったという意味です。廃止の理由は、再生計画が作れない・認められない場合などさまざまで、千鳥屋本家の場合は親族の支援が権利関係の問題などで進まなかったと報じられています。
再建の道が閉ざされたことで気になるのが、いま開いている店がどうなるかです。
千鳥饅頭の店舗は10月28日時点で通常どおり営業している
西日本新聞によると、千鳥屋本家の店舗は10月28日現在、通常どおり営業を続けています。
千鳥屋本家は飯塚市と福岡市・天神に本店を構え、福岡県を中心に約40店を出していました(西日本新聞)。共同通信によると、民事再生の申請後に千鳥屋宗家が大半の店舗や工場を引き継いでいます。今開いている店の多くはこの引き継ぎの範囲にあるとみられますが、どの店が引き継がれ、どの店が残っているかの一覧は報道されていません。
引き継がれずに千鳥屋本家側に残った店や財産があれば、破産手続きが始まったあと、裁判所が選ぶ破産管財人が扱いを決めるのが一般的です。
店に関わる点で、分かっていることと分かっていないことを分けると次のとおりです。
| 点 | 10月29日朝の時点 |
|---|---|
| 店舗の営業 | 28日現在、通常どおり営業(西日本新聞) |
| 店舗・工場の引き継ぎ | 申請後、千鳥屋宗家が大半を引き継いだ(共同通信) |
| どの店が引き継がれたか | 店ごとの一覧は報道されていない |
| 閉店の予定 | 報道されていない |
| 通信販売・ギフト・商品券の扱い | 会社からの発表は報道されていない |
| 破産手続きの開始決定 | 見込みの段階で、開始の報道はない |
お歳暮や贈答で千鳥屋本家の商品を予約している人、商品券を持っている人は、扱いが発表されるまでは、買った店の店頭で次の3点を確かめておくと安心です。
- 予約した商品は予定どおり受け取れるか(受け取りの日時と店)
- 手元の商品券やギフト券は、今後もその店で使えるか
- 受け取れない・使えない場合、返金や交換の受付はどこか
店舗の運営会社が変わっている場合は、前払いの代金や商品券をどの会社が引き受けるかで扱いが分かれます。経営破綻した会社の商品券や前払いの代金は、手続きによっては使えなくなったり、返金が一部にとどまったりすることがあります(編集部分析)。破産手続きの進み具合は、今後の東京商工リサーチの続報や報道で確かめられます。
同じように店を続けながら破産へ進んだ例として、当サイトでは「海苔弁いちのやの破産と店舗の営業」や「婦人服フォルムの破産と店舗・ポイントの扱い」も整理しています。
千鳥饅頭総本舗と千鳥屋宗家は千鳥屋本家とは別会社
福岡市の「千鳥饅頭総本舗」と西宮市の「千鳥屋宗家」は千鳥屋本家とは別会社で、今回の決定の対象外です。
西日本新聞は、千鳥饅頭総本舗は親族が経営する別会社で、営業などに影響はないと伝えています。朝日新聞も2月の申請時、宗家と総本舗には本家の申請の影響はなく、通常どおり営業していると報じていました。「千鳥饅頭」の名で同じような菓子が並ぶため、どの会社の店かが分かりにくいのが実情です。
名前の似た3社の違いを、報道をもとに並べます。
| 会社 | 本拠 | 今回の決定 | 主な商品名 |
|---|---|---|---|
| 千鳥屋本家 | 福岡県飯塚市 | 対象(破産へ移行の見込み) | 千鳥饅頭・ヨーデルン(旧チロリアン)など |
| 千鳥饅頭総本舗 | 福岡市 | 対象外(影響なしと報道) | 千鳥饅頭・チロリアンなど |
| 千鳥屋宗家 | 兵庫県西宮市 | 対象外(本家の支援に乗り出していた) | 本千鳥饅頭など |
福岡で「千鳥饅頭」や「チロリアン」を買うとき、店の看板が「千鳥饅頭総本舗」なら今回の件とは関係がありません。飯塚や天神の「千鳥屋本家」の店かどうかで見分けるのが分かりやすい方法です。
なお、東京で営業していた「千鳥屋総本家」は2016年に民事再生法の適用を申請した別の会社で、データ・マックスによると、のちに千鳥屋宗家へ統合されました。今回の千鳥屋本家とは別の話です。
チロリアンの名前は商標訴訟の和解でヨーデルンに変わった
千鳥屋本家は、看板商品「チロリアン」の商標をめぐる訴訟が2022年に大阪地裁で和解したあと、商品名を「ヨーデルン」に変えました。
共同通信によると、千鳥屋本家はチロリアンの商標権をめぐり、福岡市にある親族経営の会社と訴訟になりました。朝日新聞は、チロリアンは3社とも販売していたが、千鳥饅頭総本舗が他の2社に名称の使用停止を求めて提訴し、和解が成立したと伝えています。
千鳥屋の始まりは、1630年に佐賀で創業した菓子店「松月堂」です。朝日新聞によると、1927年に今の飯塚市に店を開き、第2次世界大戦後に福岡市へ出店して、千鳥饅頭やチロリアンが人気商品になりました。その後、経営者の息子らがそれぞれ別の会社を立ち上げました。千鳥屋本家は、のれん分けの形で2005年に設立された会社です(西日本新聞)。
商品名の変更が売上にどう響いたかを示す数字は公表されていません。東京商工リサーチは、売上が伸び悩んだ理由をコロナ禍以降の消費の低迷と物価高と説明しています。
千鳥屋本家の破産で今後決まるのは店舗と事業の行き先
これから決まるのは、破産手続きの開始と、宗家に引き継がれずに残った店舗や財産、ブランドの権利の扱いです。
破産手続きが始まると、会社に残った財産はお金に換えられ、債権者へ分けられます。大半の店舗や工場はすでに宗家が引き継いでいるため、焦点は残った分と、立て直しを難しくした権利関係がどう整理されるかに移ります(編集部分析)。
見ておきたい点を順に挙げます。
- 福岡地裁が破産手続きの開始を決めるか、その日付
- 宗家が引き継いだ店舗の営業がこのまま続くか、運営の名前や看板が変わるか
- 引き継がれずに残った店舗・財産を、破産管財人がどう扱うか
- 予約品やギフト、商品券の扱いについての案内
続報が出たら、この記事の時点表示を改めて整理します。同じ時期の倒産の流れについては「笹かま倒産が相次ぐ背景」でも、原材料高に苦しむ老舗の食品会社の例をまとめています。
千鳥屋本家の破産のよくある質問
千鳥屋本家は破産へ移行する見込みで、店舗は10月28日時点で営業を続けています。細かい疑問に、10月29日朝の時点で分かる範囲で答えます。
Q. 千鳥屋本家はもう破産したのですか?
A. 10月29日朝の時点では「破産へ移行する見込み」の段階です。福岡地裁は10月13日付で再生手続きの廃止と保全管理命令を出しましたが、破産手続きの開始決定が出たとの報道はまだありません。
Q. 千鳥屋本家の店は今どの会社が運営しているのですか?
A. 共同通信によると、民事再生の申請後に千鳥屋宗家が大半の店舗や工場を引き継ぎました。ただ、店ごとにどの会社が運営しているかの一覧は公表されておらず、個別の店は店頭で確かめるのが確実です。
Q. チロリアンは千鳥屋本家の商品ですか?
A. 「チロリアン」は千鳥饅頭総本舗が販売していると報じられています。千鳥屋本家は2022年の和解のあと、同じ系統の菓子を「ヨーデルン」の名で売っています。
Q. 千鳥屋本家で買った商品券や予約した商品はどうなりますか?
A. 10月29日朝の時点で、商品券や予約品の扱いについての会社の案内は報道されていません。受け取りや使用ができるか、できない場合の返金先を、買った店で確かめてください。
確かめ先は、破産手続きの進み具合なら東京商工リサーチの続報や報道、店の営業や予約・商品券なら買った店の店頭と分けると迷いません。
参考情報
- 共同通信(47NEWS)「饅頭の千鳥屋本家が破産移行へ 2月に民事再生法申請」2026年10月28日 https://www.47news.jp/15151234.html
- 共同通信(日刊スポーツ掲載)「千鳥屋本家が破産移行へ 2月に民事再生法申請」2026年10月28日 https://www.nikkansports.com/general/news/202610280001347.html
- 西日本新聞「『千鳥饅頭』の千鳥屋本家が破産手続きへ 民事再生廃止、22億円負債・親族支援も権利問題で頓挫」2026年10月28日(西日本新聞me)
- 東京商工リサーチ「(株)千鳥屋本家(福岡県)ほか3社が民事再生法の適用を申請」2026年3月2日 https://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/detail/1202552_1521.html
- 朝日新聞「『千鳥饅頭』の千鳥屋本家が民事再生法の適用を申請 営業は継続」 https://www.asahi.com/articles/ASV322JSMV32ULFA01DM.html
- 読売新聞「民事再生法の適用申請した『千鳥屋本家』1630年創業の和菓子屋がルーツ…チロリアンの商標権で訴訟も」2026年3月3日 https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20260303-GYS1T00003/
- データ・マックス「千鳥屋分裂の系譜~老舗ブランドの光と影(5)大阪・兵庫系は支援側」2026年4月6日 https://data-max.co.jp/article/84079
