【11/3】米最高裁、カリフォルニア2万票の分別要求を退ける|トランプ政権の不正主張と中間選挙

米連邦最高裁判所は11月2日、3日に投票日を迎える米中間選挙について、カリフォルニア州の約2万人分の郵便投票用紙を分けて保管し、米国籍が確認できるまで集計しないよう求めたトランプ政権の請求を退けました。連邦地裁と高裁もすでに政権の訴えを退けており、この2万票を集計から外そうとする政権の動きは事実上、打ち止めになりました。

この記事では、カリフォルニアの「2万票」とは何か、最高裁が何を決めたのか、トランプ政権が分別を求めた理由と州側の反論、下級審からの時系列、そして中間選挙の結果がいつ分かるのかを、BBC・AFP通信・FNNなどの報道をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 何が決まったか:最高裁は11月2日、司法省の差し止め請求を署名のない1文の決定で退けました。理由は示されていません。
  • 2万票の中身:政権が「米国籍がない可能性が高い」とみなした登録有権者約2万人の郵便投票用紙です。政権は当初19万人と主張し、のちに2万人へ修正しました。
  • 選挙の行方:中間選挙はトランプ政権への審判とされ、下院は民主党が過半数をうかがう情勢です。結果は日本時間4日から順次判明します。
目次

カリフォルニア2万票とは:トランプ政権が集計停止を求めた郵便投票

政権が米国籍を持たない可能性が高いとみなした、カリフォルニア州の登録有権者約2万人分の郵便投票用紙のことです。

BBCによると、米司法省は、カリフォルニア州内で米国市民ではない人に投票用紙が発行された可能性があると主張しました。そのうえで、対象の約2万人分の投票用紙を他の票と分けて保管し、投票した人が米国籍を持つと確認できるまで集計しないよう求めていました。報道では「2万票」と呼ばれますが、2万は政権が名簿から抜き出した登録有権者の人数で、実際に何枚の投票用紙が返送されたかは報道で確認できていません。

カリフォルニア州は米国で最も人口の多い州で、有権者登録者は約2300万人に上ります。州務長官の事務所によると、11月1日夜の時点で600万通以上の郵便投票用紙が選管に届いていました(BBC)。これは返送されて受け付けた用紙の数で、開票が済んだ数ではありません。

最高裁の決定の中身:理由を示さず請求を退けた

最高裁は、下級審の判断を差し止めてほしいという司法省の緊急請求を、理由を示さずに退けました。

AFP通信によると、最高裁は投票日の前日にあたる11月2日、裁判官の署名のない1文の決定を出しました。緊急案件ではよくある形式です。BBCによれば、最高裁の発表には、ケーガン判事に提出され同判事が裁判所に付託した差し止め請求を退ける、という趣旨だけが書かれていました。

連邦地裁と控訴裁はすでに政権の訴えを退けており、最高裁は緊急の差し止めを認めず、下級審の判断を覆しませんでした。BBCは、2万票を集計させないようにする政権の取り組みはこれで事実上、打ち止めになったと伝えています。ただし、緊急請求が退けられたことと、訴訟の本体がすべて終わったことは同じではありません。

トランプ政権はなぜ2万票の分別を求めたのか

政権は、米国籍のない人の票が混ざれば正当な票の価値が薄まり、あとから取り戻せないと主張しました。

AFP通信によると、ジョン・サウアー訟務長官は最高裁への緊急申し立てで「カリフォルニア州が異議の対象となっている投票用紙を適法な投票用紙と混ぜてしまえば、それを取り戻す方法はない」と訴えました。BBCが入手した22ページの文書でも、司法省は非市民による投票は「有効な投票の価値を低下させたり、薄めたりする可能性がある」と主張しています。

BBCによると、トランプ大統領は、民主党が移民による違法な投票を許すことで選挙を盗んでいると繰り返し主張し、その主な原因は多くの民主党支持州で認められている郵便投票だと非難してきました。一方でBBCは、そのような不正投票は実際には極めて珍しいという複数の研究結果があるとも伝えています。

19万人から2万人への修正と州への書簡

政権は当初19万人の不正登録を主張し、のちに対象を2万人に絞り込んでから緊急訴訟を起こしました。

AFP通信によると、連邦政府は当初、カリフォルニア州の有権者名簿に不正に登録された人が19万人含まれていると主張していました。最近になってその数を2万人に修正し、期日前投票が始まった後に、州がこれらの有権者に投票用紙を送るのを差し止める緊急訴訟を起こしています。

BBCによると、司法省は10月、カリフォルニア州務長官とロサンゼルス郡の選挙管理官に、この2万人の投票用紙を集計に含めないよう求める書簡を送りました。その約1週間後には、国土安全保障省の武装した職員が州内各地の郡職員に書簡を届け、投票用紙を隔離しなければ刑事訴追すると警告したと伝えています。この書簡の部分は、BBCの報道で確認できる内容です。

下級審から最高裁までの時系列

10月下旬からの約1週間で、地裁、控訴裁、最高裁の3段階すべてが政権の訴えを退けました。

報道で確認できる流れを並べると次のとおりです。

日付(現地) 出来事 出典
10月 司法省が州務長官とロサンゼルス郡に、約2万人の票を集計に含めないよう書簡 BBC
10月28日 カリフォルニア州中部地区連邦地裁のカーター判事が政権の行動を厳しく批判する判決 BBC
10月30日 連邦控訴裁が、2万人分の投票用紙の分離を求める政府の訴えを退ける BBC
11月2日 連邦最高裁が司法省の差し止め請求を退ける(署名なし・理由なし) BBC・AFP
11月3日 米中間選挙の投票日 各社

AFP通信は、下級裁判所が先週と11月2日に司法省の要求を相次いで退けたと伝えており、細かな日付の数え方は媒体によって異なります。

カーター判事の批判

地裁のカーター判事は、政権の行動を「選挙に介入しようとし続ける政権の一貫した行動パターン」の一部と批判しました。

BBCによると、カリフォルニア州中部地区連邦地裁のデイヴィッド・カーター判事は10月28日の判決で、米国の歴史上、連邦政府が選挙の前夜に州政府や自治体に対し、憲法に基づく選挙手続きを放棄させ、行政府の意向に屈するよう強要しようとしたことはかつてなかったと指摘しました。AFP通信も、判事の一人がこれを「選挙直前の露骨な介入」と非難したと伝えています。

カリフォルニア州選管の反論

州の選管は、政府による対象者の特定方法は不正確で、投票が始まった後に用紙を隔離するのは現実的ではないと反論しました。

BBCによると、カリフォルニア州の選挙管理当局は、「非市民」とされる人を特定するために政府が使った手続きは不正確だと主張しました。正当な有権者が投票する権利を奪われかねないとの懸念も示しています。AFP通信は、今回の訴訟を3日の投票結果に疑問を投げかけようとするトランプ政権の新たな試みとみられると伝えました。

(編集部分析)選挙権を国民だけに限り、有権者の国籍を確かめることは、国家主権の根幹にかかわる正当な課題です。ただ、名簿の精度が裁判所で疑われたまま、期日前投票が進んだ段階で用紙の隔離を迫れば、本来の有権者の票まで巻き込み、かえって選挙への信頼を損ないかねません。国籍の確認は、選挙の直前ではなく、有権者登録の段階で正確に行う仕組みとして整えるべきだと評価できます。

米中間選挙はトランプ政権への審判

今回の中間選挙は第2次トランプ政権の実績が問われる選挙で、与党・共和党は苦戦が伝えられています。

FNNによると、最新の情勢では上院の8つの州で接戦が伝えられ、下院では野党・民主党が過半数をうかがう勢いです。長引くイランとの戦闘や物価高への不満が背景にあるとされます。トランプ大統領は投票直前に激戦州のアイオワ州とカンザス州に入り、最後の演説をしました。民主党はオバマ元大統領を応援に投入しています。

TBSは、リアル・クリア・ポリティクスの最新情勢として、下院は民主党227議席・共和党180議席、上院は民主党47議席・共和党45議席(残りは接戦)と伝えました。中間選挙の争点の一つになっているAI向けデータセンターの問題は、AIデータセンターと米中間選挙の記事で整理しています。

結果はいつ分かるか(日本時間)

日本時間4日午前から各州で当確が順次出ますが、接戦州や郵便投票の多い州の集計は数日かかる場合があります。

東部の投票所は日本時間4日午前9時ごろから順に閉まり、カリフォルニア州は4日午後1時ごろに締め切られます。米国は11月1日に夏時間が終わっており、東部標準時の午後7時は日本時間4日午前9時、太平洋標準時の午後8時は日本時間4日午後1時にあたります。カリフォルニア州は郵便投票が多く、全体の集計には日数がかかることがあります。激戦州ミシガンの上院選の見どころはエルサイード候補とミシガン上院選の記事にまとめています。

日本から見た郵便投票と選挙の公正

日本にとっては、同盟国の選挙の信頼性と、選挙権を誰に認めるかという主権の問題が問われています。

FNNの番組では、橋下徹氏が、中間選挙で共和党が敗れてもトランプ大統領がおとなしくなるとは限らないと述べ、日本は時には「ノー」と言うべきだと主張しました。選挙後の米国とどう向き合うかは、日本の外交の大きな課題です。

(編集部分析)米国の選挙の結果が法廷で争われ続ければ、同盟国としての米国の意思決定は遅れ、安全保障や通商の交渉にも影響が及びます。また、選挙権を自国民に限るという原則は日本でも揺るがせにできません。外国人の地方参政権のような議論が出るたびに、有権者の資格をどう確かめるかという制度の土台を、日本自身が先に固めておくことが求められていると考えられます。

日本時間4日以降は、カリフォルニア州務長官の開票速報と、AP通信などによる上院・下院の当確の集計で、結果と票の扱いを確かめてください。

カリフォルニア2万票と米中間選挙のよくある質問

最高裁は政権の分別要求を認めませんでしたが、個々の票の有効性を認定したわけではありません。

Q. 最高裁は不正投票が無かったと認定したのですか?

A. いいえ。今回の決定は差し止め請求を退けただけで、理由は示されていません。対象の有権者が実際に米国籍を持つかどうかを最高裁が判断したわけではありません。

Q. これで裁判はすべて終わったのですか?

A. 最高裁が退けたのは、下級審の判断を一時的に止めてほしいという緊急の請求です。訴訟の本体が今後どう扱われるかは、11月3日時点の報道では確認できていません。

開票の結果は、日本時間4日以降の続報で確認してください。

参考情報

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