【9/22】ひるおび台風中継で女性を19秒撮影、批判集中の経緯とTBSの対応

【9/22】ひるおび台風中継で女性を19秒撮影、批判集中の経緯とTBSの対応

TBS系の情報番組「ひるおび」が9月22日、台風25号の被害を千葉県佐倉市から生中継した際、冠水した歩道を歩く女性を中継カメラが約19秒にわたって映し、一時はアップにしたと東スポWEBなどが報じました。SNSでは撮影方法を疑問視する声が相次いでいると報じられています。

この記事では、報道で確認できる事実と、まだ確認できていないことを分けて整理します。あわせて、放送局が守るべきルール(日本民間放送連盟の放送基準)や、放送倫理・番組向上機構(BPO)がどこまでこの件を扱えるのかを、一次資料に沿って説明します。映っていた女性は一般の方なので、この記事では特定につながる情報を扱いません。

この記事でわかること

  • 何が起きたか:9月22日の「ひるおび」の佐倉市中継で、カメラが女性を約19秒映し、一時アップにしたと報じられた。
  • TBSの対応:9月24日朝の時点で、TBSの公式な説明や謝罪は報道でも確認できていない。
  • ルールと窓口:民放連の放送基準はプライバシーと性に関する表現に配慮を求めており、BPOは視聴者の意見と本人の申立てを受け付けている。
目次

ひるおびの台風中継で何が起きたのか(9月22日・佐倉市)

9月22日の「ひるおび」の佐倉市中継で、カメラが歩道を歩く女性を約19秒映し、一時アップにしたと報じられました。

東スポWEB(9月23日16時55分配信)によると、番組は台風25号が関東に与えた影響を伝えるため、千葉県佐倉市から生中継しました。男性リポーターはJR佐倉駅周辺が冠水していること、歩道まで水が来ていること、奥に車体まで水に漬かった車があることを伝えていました。

その中継の途中で、カメラは冠水した歩道を歩いてくる若い女性をとらえました。女性は衣服が濡れないよう裾をたくし上げて歩いており、カメラは約19秒にわたって女性を映し、一時はアップにしたと報じられています。同じ内容はZAKⅡ(9月23日17時20分配信)も伝えています。

中継の場所は高崎川があふれたJR佐倉駅の周辺

中継が行われたのは、台風25号の大雨で高崎川が氾濫し、広い範囲が冠水したJR佐倉駅の周辺です。

千葉日報によると、9月22日は佐倉市内を流れる高崎川が氾濫し、JR佐倉駅北口では周辺道路の広い範囲が冠水しました。水に漬かって動けなくなった車も複数見られ、長く佐倉に住む住民は「8月の千葉豪雨よりもひどい」と話しています。台風25号では神奈川県でも被害が出ており、三浦市の土砂災害については「三浦市上宮田の土砂災害と自衛隊派遣要請」で整理しています。

「19秒」は女性を映していた時間で、ずっとアップだったわけではない

報道の「約19秒」は、カメラが女性を映し続けた時間です。そのうちアップにしたのは「一時」とされています。

見出しでは「19秒ズーム」と短くまとめられることが多いのですが、東スポWEBの本文は「約19秒間にわたってそれを捉えた上に、一時はアップにした」という書き方です。19秒間ずっと寄って撮っていたとは書かれていません。アップにしていた時間が何秒だったのかは、報道からは分かりません。この記事でも、この2つを分けて扱います。

ひるおびの中継になぜ批判が集中したのか

女性を約19秒映し一時アップにした撮り方が、災害報道として必要だったのかと疑問視されています。

東スポWEBは、Xで「報道ではなくハラスメント」「たまたま映り込んだというより、カメラが追っているように見える」といった声が出ていると報じています。この記事ではSNSの投稿そのものは出典にせず、報道が伝えた範囲で扱います。

批判の中身を整理すると、次の3点にまとまります。

  • 時間の長さ:通り過ぎる人が一瞬映るのではなく、約19秒映し続けた。
  • アップにしたこと:水の深さを見せるだけなら、寄って撮る必要があったのか。
  • 本人の立場:冠水した歩道を移動していた一般の人で、撮影に同意していたかどうかは報じられていない。

東スポWEBも「撮影者はあくまで被害の大きさを伝える、わかりやすい被写体として捉えただけかもしれない」としたうえで、「そこまで追いかける必要があったのかには疑問が残る」と書いています。撮影の意図がどうだったのかは、局の説明が出ていない現時点では分かりません。

冠水した佐倉ではカメラを避けて歩くのが難しかった可能性

当日の佐倉駅周辺は道路が広く冠水しており、通行する人がカメラを避けにくかった可能性があります。

千葉日報によると、高崎川の氾濫でJR佐倉駅北口の周辺道路は広い範囲が水に漬かり、動けなくなった車も複数ありました。(編集部分析)周りの道路も水に漬かっている場所では、カメラを避けて別の道を選ぶ余裕は小さかったとみられます。

ふだんの街頭撮影であれば、映りたくない人はカメラから離れることができます。災害の現場ではそれが難しいぶん、どこまで映すかは撮る側の判断にかかっています。批判が大きくなった背景には、こうした立場の差もあると考えられます。

TBSは謝罪やコメントを出したのか(9月24日時点)

9月24日朝の時点で、この記事が確認した報道の範囲では、TBSの公式な説明や謝罪は見当たりません。

確認したのは、東スポWEB・ZAKⅡ・ライブドアニュースの記事と、Googleニュースで9月24日朝までに出た関連の見出しです。いずれもTBSのコメントを載せていません。記事にコメントが無いことは、TBSが何も発表していないことと同じではありません。取材に対する回答が掲載されていないため、TBSがこの件をどう受け止めているか、撮影の判断がどうだったのかは分かっていない状態です。

放送局が番組内容について説明や謝罪をする場合、翌日以降の番組内で伝えることや、公式サイトで発表することがあります。この記事は、TBSの説明が出た時点で内容を更新します。

ひるおびの件で確認できていること・できていないこと

報道で分かるのは放送日・場所・約19秒・一時アップの4点で、撮影の意図とTBSの見解はまだ分かりません。

報道で確かめられる事実と、まだ確かめられていないことを分けると次のとおりです。

項目 状態 根拠
放送日と番組 報道あり(9月22日「ひるおび」) 東スポWEB・ZAKⅡ
中継場所 報道あり(千葉県佐倉市・JR佐倉駅周辺) 東スポWEB
映していた時間 約19秒と報道 東スポWEB・ZAKⅡ
アップにした時間 不明(「一時」とだけ報道) 東スポWEB
撮影の意図・判断した人 不明 TBSの説明なし
TBSの謝罪・説明 9月24日朝時点で確認できず 各社の記事に記載なし

SNSでは撮影の意図についてさまざまな推測も出ていますが、裏付けのある情報はありません。この記事では、表の「不明」の部分を推測で埋めずに扱います。

災害中継で通行人を映すのはなぜか

冠水の深さを視聴者に直感的に伝えるため、歩く人の足元を映すことは災害報道でよく使われる手法です。

ZAKⅡは、水位の深さを分かりやすく伝えるために通行人の足元や歩く姿を映すのは災害報道で一般的だとしたうえで、今回は19秒という長さとアップが、水位を伝えるという目的を超えて個人に焦点を当てすぎていると受け止められた、という対立の構図を示しています。

水の深さを伝えるという報道上の目的と、撮り方への疑問を並べると、次のようになります。

観点 水の深さを伝えるという報道上の目的 撮り方への疑問として報じられた点
何を映すか 歩道まで水が来ている深さ 特定の女性の体に焦点が移った
時間 足元の水位が伝わる長さ 約19秒映し続けた
画角 引きの映像で周囲の冠水も分かる 一時アップにした
映る人 被災地を移動する住民 一般の人で、同意の有無は報じられていない

水の深さを伝えるという目的そのものは否定されていません。問われているのは、その目的に対して長さと寄り方が釣り合っていたかどうかです。

放送のルールでは何が問われるのか

民放連の放送基準は、プライバシーを侵す扱いをしないことと、性に関する表現を興味本位にしないことを定めています。

日本民間放送連盟(民放連)の放送基準は、TBSを含む民放各社が番組を作るときの共通の決まりです。今回の件に関係しそうな条文は次のとおりです。

条文 書かれていること(要旨) 今回との関わり
第1章(3) 個人情報の扱いに注意し、プライバシーを侵す扱いをしない 一般の人を長く映したこと
第6章(32) 取材・報道で個人のプライバシーや自由を不当に侵さない 災害中継という報道の場面での撮り方
第11章(73) 性に関する表現は、過度な興味本位や露骨にならないよう注意する 体の一部をアップにしたこと

この記事は、放送基準のどの条文に当たるかを判断しません。「関わりうる条文」の紹介にとどめます。BPOが審議や審理をするかどうかは、各委員会がそれぞれの基準で判断します。

放送基準は放送後のSNSでの広がりにも注意を求めている

民放連の放送基準は、放送内容がSNSで想定外の誹謗中傷を招くことがある点にも留意するよう求めています。

放送基準の第8章(56)は、放送内容によってはSNSなどで出演者への想定外の誹謗中傷を誘うことがあり得ると書いています。条文の対象は「出演者」ですが、今回のように一般の人が映った場面が切り抜かれてSNSで広がると、映った本人が見知らぬ人から詮索される危険があります。

批判の声を上げることと、映った人の姿を広げることは別の行為です。放送局の撮り方を問う議論が、本人への二次的な被害につながらないよう注意が必要です。

BPOはひるおびの件を扱えるのか

BPOは視聴者の意見を受け付けて局に伝えますが、人権侵害として審理するには原則として映った本人の申立てが必要です。

BPO(放送倫理・番組向上機構)は、NHKと民放が作った第三者機関です。視聴者から届いた意見は放送局に送られ、必要に応じて各委員会にも報告されて、審議や審理が必要かどうかが検討されます。ただし、BPOは意見を送った人に返信や回答をしていません。

一方、放送人権委員会の運営規則第5条は、申立てができるのは「その放送で取り上げられたことにより権利の侵害を受けた個人またはその直接の利害関係人を原則とする」と定めています。つまり原則として、視聴者の批判だけでは人権侵害の審理は始まりません。ただし同じ第5条は、きわめて重大な権利侵害や放送倫理上の問題については、申立てを待たずに委員会の判断で審理を始められるとも定めています。流れを図にすると次のとおりです。

視聴者の意見
BPOへ送る → 放送局へ伝わる → 必要なら委員会へ報告(返信はない)
本人の申立て
放送日から3か月以内に局へ申し立てる → 話し合いが相容れなければ、放送日から1年以内にBPOへ
放送人権委員会
申立ての内容を見て、審理するかどうかを決める

このように、視聴者の意見と本人の申立ては別の入り口です。審理まで進むかどうかは、映った本人が申し立てるかどうかに大きく左右されます。

映った本人や視聴者ができること

映った本人はTBSに直接申し入れができ、視聴者はTBSとBPOに意見を送れます。

放送人権委員会の運営規則では、申立ての条件として、申立人と放送局の話し合いが「相容れない状況」になっていることを挙げています。期限は、放送のあった日から3か月以内に放送局へ、1年以内に委員会へ申し立てることです。また、裁判や調停で争っている案件や、放送局に損害賠償を求めている案件は、原則として扱いません。

本人を探したり、映像を再投稿したりすることは、批判している側が本人をさらに傷つけることにつながります。この記事も、その立場で書いています。

Q. BPOに意見を送るとき、何を書けばよいですか?

A. 放送局・番組名・放送日と、見た都道府県、年代を書きます。特定の場面について送るなら、おおよその時刻も添えるよう案内されています。名前は本名でなくてもかまいません。

今回なら「TBS『ひるおび』、2026年9月22日、佐倉市からの台風中継の場面」と書けば、どの放送かが伝わります。

今後の焦点はTBSの説明と撮影の判断

今後の焦点は、TBSが撮影や放送の判断をどう説明するかと、同じことを防ぐ手だてを示すかです。

現時点で分かっていないのは、①カメラが女性を追ったのは誰の判断か、②生放送のなかでアップを止める仕組みはあったのか、③TBSが問題だと認めるのかどうか、の3点です。

(編集部分析)災害中継は、被災地の深刻さを伝える公共性の高い報道です。そのぶん、画面に映る住民は避難や移動の途中で、撮られることを選べない立場にあります。生放送では映像を後から編集できないため、「水の深さを伝える」という目的に対して何秒映すか、どこまで寄るかを現場で判断する基準が問われていると評価できます。TBSの説明が出た場合は、誰がどう判断したのかと、同じことを防ぐ手だてが示されるかを確かめる必要があります。

ひるおびの台風中継のよくある質問

本文で扱いきれなかった、BPOの仕組みや今後の見通しに関わる疑問に答えます。

Q. 本人が申し立てなくても、BPOが取り上げることはありますか?

A. あります。放送人権委員会の運営規則第5条は、きわめて重大な権利侵害や放送倫理上の問題なら、申立てを待たずに委員会の判断で審理を始められると定めています。

Q. 映像をSNSで共有してもよいですか?

A. 控えるのが望ましいです。映っているのは一般の人で、切り抜きが広がるほど本人が詮索される危険が大きくなります。批判を伝えるなら、番組名と放送日だけで足ります。

TBSの説明が出たら、この記事の内容を更新します。

参考情報

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