【10/6】ホーム・レオとは?川崎重工の見守りロボ、2028年度に投入へ

【10/6】ホーム・レオとは?川崎重工の見守りロボ、2028年度に投入へ

川崎重工業は2026年10月6日、高齢者の在宅生活を支えるソーシャルロボット「Home LEO(ホーム・レオ)」の試作機が完成したと発表しました。同じ日には経営計画の進み具合を説明する会を開き、全事業にロボットとAIを組み込む「ロボット企業」への転換を打ち出しています。

この記事では、ホーム・レオで何ができて、いつ使えるようになるのかを公式発表と報道から整理し、あわせて同じ日に示された経営計画の数字、造船ロボット、乗れる4脚ロボ「コルレオ」の予定までまとめます。

この記事でわかること

  • ホーム・レオとは:会話・見守り・物探しで高齢者の在宅生活を支えるロボットで、2028年度に市場投入する予定です。
  • まだ分からないこと:価格、重さ、売り方、介護保険の扱いは10月7日朝の時点で公表されていません。
  • ロボット企業への転換:2030年度の売上収益目標を3兆3000億円超に上げ、4年間で約5500億円を成長投資に回します。
目次

ホーム・レオ(Home LEO)とは何か

ホーム・レオは、高齢者の自宅で会話や見守り、物探しを手伝う川崎重工のソーシャルロボットです。

川崎重工のプレスリリースによると、ロボット技術とAIを組み合わせた「フィジカルAI」で、使う人や部屋の様子を認識し、状況に応じて判断して自分で動きます。日々の会話や見守りを通じて生活習慣や好みを覚え、その人に合わせた声かけにつなげるとしています(川崎重工業 プレスリリース 10月6日)。

ホーム・レオでできること4つ

公式発表が挙げる役割は、会話、在宅生活の見守り、自律的な生活サポート、医療・介護とのデータ連携の4つです。

それぞれの中身を、プレスリリースとImpress Watchの記事をもとに並べると次のとおりです。

役割 発表されている中身
一人ひとりに寄り添う会話 日々の会話から生活習慣や好みを覚え、その人に合わせて話しかける
安心・安全の見守り 転倒、体調の変化、火の不始末などの兆候を見つけ、本人への声かけや家族・介護関係者への連絡につなげる機能を開発する
自分で動く生活サポート 家の中を移動し、物を探すのを手伝う
医療・介護とのつながり 会話・行動・健康状態のデータをためる仕組みを備え、本人の同意と適切な情報管理を前提に医療機関や介護施設と共有する計画

見守りの機能は「開発する」と書かれており、試作機の時点で全部がそろっているわけではない点に注意が必要です(Impress Watch 10月6日)。

大きさと形、名前の意味

大きさは長さ640mm・幅390mm・高さ675mmで、報道は「犬型」と紹介し、名前のLEOは英語3語の頭文字です。

膝立ちの姿勢では高さが830mmになります。日本経済新聞はホーム・レオを「犬型ロボット」として紹介しており、ほかにも「犬型ロボを試作」という見出しで伝えた報道があります。川崎重工のリリース自体は「犬型」という言葉を使っていません。名前の「LEO」は、Linking Life(人とロボットをつなぐ)、Empowering You(暮らしを進化させる力)、Optimizing(毎日の生活をスマートに)の頭文字だと、プレスリリースは説明しています。重さは公表されていません。

ホーム・レオはいつ買えるのか、価格はいくらか

市場投入は2028年度の予定で、価格は10月7日朝の時点で公表されていません。

川崎重工は今後、厚生労働省や経済産業省、地方自治体、医療・介護機関、AI企業などと組んで実証試験を進めるとしています。高齢者が住み慣れた自宅で暮らせる期間を延ばし、本人と家族の負担を軽くすることが目標です(川崎重工業 プレスリリース)。

まだ分かっていないこと

価格、重さ、個人向けに売るのか施設向けに貸すのか、介護保険の対象になるのかは発表されていません。

「2028年度」は日本の会計年度で、2028年4月から2029年3月までを指します。実証試験の場所や参加する自治体の名前も、まだ出ていません。購入を考えている人は、実証試験の募集や自治体の発表を待つ段階です(編集部分析)。

10月7日朝の時点で、公式発表と報道から分かっていることと、まだ出ていないことを分けると次のとおりです。

項目 状況 出どころ
市場投入の時期 2028年度の予定 プレスリリース
大きさ 640×390×675mm(膝立ち830mm) プレスリリース
連携する相手 厚生労働省・経済産業省・自治体・医療介護機関・AI企業(予定) プレスリリース
価格・重さ 未公表 ―
売り方(購入・レンタル・施設向け) 未公表 ―
実証試験の場所 未公表 ―

表のとおり、生活者が一番知りたい「いくらで、どう手に入るか」はまだ空欄です。続報が出た時点でこの表を更新します。

ホーム・レオの前にあった介護施設での実証

川崎重工は2024年にも、介護現場向けのソーシャルロボットを開発すると発表しています。

2024年11月26日の発表では、JR西日本プロパティーズが神戸で運営する介護施設「ディアージュ神戸」で、2024年7月に実証試験を行ったとしています。認知症の人と同じ話を何度でも繰り返したり、話題を切り替えたり、話をじっくり聞いたりする会話と、見守りの機能を試しました(川崎重工業 2024年11月26日)。

この2024年のロボットとホーム・レオが同じ開発の流れにあるかどうかを、今回のプレスリリースははっきり書いていません。ただ、どちらも「ソーシャルロボット」という同じ呼び方で、会話と見守りを中心に置いている点は共通しています。施設で試した会話の機能を、自宅向けに広げたと読むのが自然です(編集部分析)。

川崎重工は医療・生活の分野で、ほかにも手術支援ロボット「hinotori」、屋内配送ロボット「FORRO」、セミヒューマノイド「Nyokkey」を手がけていると、今回のリリースで紹介しています。

川崎重工が「ロボット企業」へ変わると言った中身

全事業にロボットとAIを組み込み、2030年度の売上収益を3兆3000億円超に増やす計画です。

10月6日の説明会で、橋本康彦社長は「フィジカルAIは造船も防衛も航空も変えていく」と述べました。日本経済新聞はこの発表を「ロボット企業へトランスフォーム」と伝えています(日本経済新聞 10月6日)。

売上収益3兆3000億円と5500億円の投資

売上収益の目標は従来の3兆円規模から3兆3000億円超へ上がり、4年間で約5500億円を成長投資に回します。

ロイターと日本経済新聞が伝えた主な数字を並べると次のとおりです。

項目 これまで 10月6日の発表
2030年度の連結売上収益 3兆円規模 3兆3000億円超(2026年3月期の約4割増)
成長投資 ― 2030年度までの4年間で約5500億円
2030年度の防衛事業の売上収益 5000億〜7000億円 7000億〜8000億円
半導体用ロボットの生産能力 ― 2029年度までに2倍(投資75億円)

5500億円はロボット部門だけの金額ではなく、会社全体の成長投資の合計です。同社は7月に公募増資などで約2000億円を調達しており、これが投資の原資の一部になります(ロイター 10月6日)。

ロボット事業はいま売上の約4%

2026年3月期(2025年度)のロボット事業の売上収益は929億円で、連結全体の約4%にとどまります。

川崎重工は1969年から産業用ロボットを手がけてきた会社で、2020年にはロボット部門出身として初めて橋本氏が社長に就きました。ロボットそのものを売る比率は小さいままでも、造船・航空・防衛といったほかの事業の現場にロボットとAIを入れていく、というのが今回の「ロボット企業」の意味です。日本経済新聞によると、説明会では人型ロボット「カレイド」がコンテナを運んで仕分ける様子も実演されました。

事業の数が多いことは、これまで「何の会社か分かりにくい」弱みとも見られてきました。それを、フィジカルAIを学習させる現場のデータが多いという強みに読み替えた点が、今回の発表の核です(編集部分析)。

同じ日に公開された造船AIロボット

4本の足で船体の壁を歩き、溶接や検査をする造船用ロボットの試作機が初めて公開されました。

NHKによると、ロボットは電磁石で船体にはりついて移動し、AIが自分で判断して溶接します。TBS NEWS DIGは、垂直の壁や天井にも移動でき、酷暑や風雨など作業環境の影響を受けにくいと伝えています(NHK 10月6日/TBS NEWS DIG 10月6日)。

橋本社長は「造船業に従事する日本人就労者数は、中期的には減少が続いている」と述べ、人手不足に加えて熟練の技やノウハウの受け継ぎが課題だとしました。熟練工のやり方をロボットに取り込むことで、造船現場の自動化を進めるとしています。日本経済新聞は、生産性が2倍になると伝えています。

2027年に坂出工場で実証、2028年に実用化

来年の2027年に香川県の坂出工場で実証実験を行い、2028年の実用化を予定しています。

テレビ朝日の報道によると、ロボットは自分で作業計画を作るため、これまで自動化が難しかった高い場所や曲面での作業ができるようになります。政府は2035年に船の建造量を倍にする目標を掲げており、AIを使った次世代の造船所に注目が集まっています(テレビ朝日系(ANN) 10月6日)。

乗れる4脚ロボ「コルレオ」はいつ形になるのか

コルレオ(CORLEO)は2028年に人が乗れる試作機を作り、製品化は2035年を目標にしています。

コルレオは、4本の足で野山を歩くオフロード用の乗り物として、川崎重工が2025年12月に開発着手を発表したものです(川崎重工業 2025年12月3日)。2026年7月の事業説明では、これからの予定が次のように示されました。

2027年
デザインを変更。乗り心地を試すライディングシミュレーターも開発
2028年
人が乗れる試作機(日本経済新聞)
2030年
リヤド万博(サウジアラビア)での採用を目指す
2035年
製品化の目標。まずはアトラクションとして楽しめる場から

マイナビニュースによると、川崎重工は「オートバイのように一般向けに売るのはまだハードルが高い」として、最初はライディングパークのような施設で乗れる形を考えています。動力は水素エンジンで、排気量を150ccから330ccへ上げる予定です(マイナビニュース 2026年7月30日/日本経済新聞 2026年7月)。

ホーム・レオが2028年度、造船ロボットが2028年、コルレオの試作機も2028年と、今回並んだロボットは2028年前後に節目がそろっています。どれも試作や実証の段階で、製品として広く使えるようになるまでには技術の確認に時間がかかります(編集部分析)。

防衛事業の上振れと半導体ロボットの増産

2030年度の防衛事業の売上収益は7000億〜8000億円に上がる見込みで、2030年代半ばには1兆円超を目指します。

ロイターによると、橋本社長は「防衛費が増大したということと、防衛に関して国民全体の理解が進んだ中で、そこに注力していくことをお知らせするタイミングが来た」と述べ、説明会では防衛を最初に取り上げました。防衛省との契約制度の改正で、事業利益率は2027年度以降10%を超える見込みです。無人装備やAIの普及など戦い方の変化にも対応するとしています。

半導体の製造現場で使うロボットは、既存の建屋を使って75億円を投資し、2029年度までに生産能力を2倍にします。新工場の建設も視野に入れ、2035年に売り上げを1600億円規模へ増やす計画です(ロイター 10月6日)。

防衛装備を国内で造り続ける力は、国の安全を自分たちで支える土台になります。防衛と造船という国の基盤にかかわる分野で、人手不足をロボットで補う道筋を示したことは、一企業の成長計画にとどまらない意味を持ちます(編集部分析)。

ホーム・レオを家で使う前に気にしたい点

見守りのデータを誰と共有するか、試作機の機能がどこまで製品に入るかの2点は、発売前に確かめたいところです。

プレスリリースは、会話や行動、健康状態のデータを医療機関や介護施設と共有する前提として「本人の同意と適切な情報管理」を挙げています。家族が見守りに使う場合も、本人がどこまで記録されることに納得しているかを話し合っておく必要があります(編集部分析)。

また、転倒や火の不始末の検知は「開発する」と書かれた機能で、2028年度の製品にどこまで入るかはまだ分かりません。いまある見守りの手段(見守りサービスや火災警報器など)をやめて待つ理由にはなりません。実証試験の結果と、価格・提供方法の発表を見てから判断するのが確実です(編集部分析)。

ホーム・レオと川崎重工のロボットでよくある質問

検索の多い疑問に、10月7日朝の時点の公式発表と報道で答えます。

Q. ホーム・レオが異変に気づいたら、家族のスマートフォンに知らせが届きますか?

A. 届く方法はまだ発表されていません。プレスリリースは、転倒や体調の変化などに気づいたとき「家族・介護関係者との連携を図る機能を開発する」と書くにとどまり、スマートフォンへの通知か、見守りサービスを通すのかは示していません。

Q. 川崎重工のフィジカルAIの開発拠点は海外にもありますか?

A. あります。川崎重工は2026年5月22日、米国カリフォルニア州サンノゼに「Kawasaki Physical AI Center San Jose」を開くと発表しました。NVIDIA、Analog Devices、Microsoft、富士通などと協業し、最初の重点分野に医療・介護を挙げています(AIsmiley)。

Q. 説明会で実演された人型ロボット「カレイド」とは何ですか?

A. 川崎重工が開発している人型ロボットです。日本経済新聞によると、10月6日の説明会ではコンテナを運んで仕分ける作業を実演しました。発売の時期や価格は、今回の発表では示されていません。

川崎重工から実証試験の場所や価格の発表があれば、確かめて追記します。

参考情報

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次