【10/21】高市政権1年の内閣支持率|10月の4社は42.4%〜62.6%、差が出る理由と簗氏辞任の評価

高市早苗内閣は2026年10月21日で発足から1年を迎えました。政権1年の節目に出そろった10月の世論調査では、内閣支持率がFNN・産経の62.6%から時事通信の42.4%まで、同じ月の調査で20ポイント以上開いています。「高支持率を維持」という見出しと「発足以来最低」という見出しが同じ週に並んだのはこのためです。この記事では、各社の10月調査の数字と調査日・方式を1つの表に並べ、発足時からどれだけ下がったのか、なぜ調査ごとに差が出るのか、簗和生前農水相の辞任を世論がどう見たのか、そして2年目に何が支持率を左右するのかを整理します。
この記事でわかること
- 1年後の水準:10月の4社の支持率は42.4%〜62.6%で、発足直後に調べた6社の数字(64.4%〜75.4%)をいずれも下回っています。
- 差が出る理由:調査の方式(面接か電話か)と、簗氏の辞任(10月14日)の前か後かが数字を分けています。
- 2年目の焦点:消費減税法案の財源と、閣僚の任命をめぐる説明が、次の調査の数字を動かす材料になります。
高市政権1年の支持率は高いのか、下がったのか
発足直後の6〜7割台より低くなりましたが、不支持を確認できた3社では支持が不支持を12〜19ポイント上回っています。
答えは「下がったが、まだ支持が不支持より多い」です。時事通信は5カ月連続で下がって最低を更新し、ANNも発足以来最低を記録しました。一方で、FNN・産経は9月からほぼ横ばいの62.6%、NHKは51%です。不支持の数字を確認できた3社の差は、NHKが19ポイント、ANNが13.8ポイント、時事通信が12.7ポイントで、不支持が支持を上回る「逆転」はどこにも出ていません。
発足直後(2025年10月)の支持率は各社64.4%〜75.4%だった
発足直後の報道6社の調査は、最も低い共同通信でも64.4%、最も高い産経新聞は75.4%でした。
nippon.comが2025年10月30日にまとめた報道各社の発足直後の調査を並べると、次のとおりです。
| 報道機関 | 発足直後の支持率(2025年10月) |
|---|---|
| 産経新聞 | 75.4% |
| 日本経済新聞 | 74% |
| 読売新聞 | 71% |
| 朝日新聞 | 68% |
| 毎日新聞 | 65% |
| 共同通信 | 64.4% |
6社すべてが6割を超えたところから1年が始まりました。同じ産経(FNNとの合同調査)で比べると、75.4%から10月の62.6%へ12.8ポイント下がっています。なお、10月の表に入っているNHK、ANN、時事通信はこの6社に含まれていないため、発足直後との比較は産経だけで行っています。
10月の各社世論調査の内閣支持率一覧
10月の4社の支持率は、FNN・産経62.6%、NHK51%、ANN47.1%、時事通信42.4%の順でした。
調査日と方式、不支持率を並べると次のとおりです。前回比は各社が発表した数字で、発表のないものは空欄にしています。
| 調査 | 調査日 | 方式 | 支持 | 不支持 | 前回比 |
|---|---|---|---|---|---|
| FNN・産経 | 10月17〜18日 | 電話(RDD)1014人 | 62.6% | 記事で確認できず | 9月61.6%から1.0ポイント増 |
| NHK | 10月10〜12日 | 電話 | 51% | 32% | |
| ANN(テレビ朝日系) | 10月17〜18日 | 電話 | 47.1% | 33.3% | 11.2ポイント減(発足以来最低) |
| 時事通信 | 10月9〜12日 | 個別面接2000人 | 42.4% | 29.7% | 1.7ポイント減(5カ月連続減・最低) |
支持の幅は20.2ポイントありますが、不支持は数字を確認できた3社で29.7%〜33.3%と、支持ほどは開いていません。(編集部分析)差の多くは「支持」と「どちらとも言えない・わからない」の境目で生まれている可能性があります。
時事通信の10月調査そのものの内訳(政党支持率や内閣改造の評価)は、「時事世論調査10月の内閣支持率42.4%|簗氏続投判断を8割が問題視」で詳しく整理しています。
同じ月の調査で支持率が20ポイント違うのはなぜか
考えられる要因は、調査の方式の違いと、簗氏の辞任より前に聞いたか後に聞いたかの違いの2つです。
次の図は、10月の4社の支持率を高い順に並べたものです。
同じ10月でも、4割台前半から6割台前半まで分かれています。ここからは、その差を生んでいる2つの条件を順に見ます。
調査方式の違い:個別面接と電話
時事通信は調査員が直接会って聞く個別面接で、ほかの3社は電話で聞いており、方式が違います。
面接方式は「わからない」と答える人が多く出やすく、電話方式は「支持する・しない」のどちらかに答えが寄りやすいと一般に指摘されています。ただし、質問文や選択肢の並べ方、対象者の選び方、調査した日も数字に影響するため、今回の差のうち何ポイントが方式によるものかは分かりません。方式の違いは差を生む要因の1つと考え、時事通信の数字は「時事通信の前の月と比べる」読み方が確実です。時事通信の前の月との比較では、9月の44.1%から1.7ポイント下がっています。
調査時期の違い:簗氏辞任(10月14日)の前か後か
時事通信とNHKは辞任の前に、FNN・産経とANNは辞任の後に聞いており、同じ10月でも前提が違います。
簗和生氏をめぐっては、9月30日以降に地元自治体の「道路予算カット」発言や、衆院選で支援者を無料バスで運んだとする公選法違反の疑いが報じられ、高市首相が事実上の更迭に踏み切ったのは10月14日でした(時事通信)。辞任後に聞いた2社のうち、ANNは前の月から11.2ポイント下げ、FNN・産経は1.0ポイント上がっています。
(編集部分析)辞任前の調査は「続投させている首相」を、辞任後の調査は「辞任させた首相」を思い浮かべて答えた人が多かった可能性があります。ただ、辞任後の2社でも動きが逆になっており、調査日の違いだけで支持率の差を説明することはできません。
簗氏の辞任までの経緯は「簗農水相が辞任|高市政権で初の不祥事による閣僚辞任」にまとめています。
Q. どの社の支持率を信じればよいですか?
A. どれか1社を正解にするより、同じ社の前の月と比べて上がったか下がったかを見るのが確実です。方式や質問文が違う社どうしの数字をそのまま比べると、世論の変化と調査の違いを見分けられません。
方式と時期の違いを踏まえたうえで、各社が簗氏の問題そのものをどう聞いたかを見ていきます。
簗氏の辞任を世論はどう見たか
辞任後に聞いた2社では7〜8割が辞任を「妥当・必要だった」と答え、首相の判断の時期や対応で評価が割れました。
辞任そのものを聞いたのはFNN・産経とANNの2社です。辞任前に調べた時事通信は、首相が続投させた判断を聞いており、別の設問として並べます。
| 調査 | 辞任そのもの | 首相の判断・対応 |
|---|---|---|
| FNN・産経(辞任後) | 「妥当だ」85%/「妥当ではない」9.8% | 辞表受理の時期が「適切ではなかった」51.2%。簗氏は辞任後も説明すべき69.3% |
| ANN(辞任後) | 「必要だった」76%/「必要なかった」12% | 首相の対応が「適切だった」43%/「適切ではなかった」38% |
| 時事通信(辞任前) | (辞任前のため設問なし) | 続投させた判断が「問題だ」49.6%+「どちらかと言えば問題だ」28.4%=計78.0% |
辞任を聞いた2社では、辞任は不要だったとする答えが1割前後にとどまりました。時事通信でも、続投の判断を擁護する声は13.2%でした。首相の対応への評価は、ANNでは「適切だった」が上回り、FNN・産経では時期が「適切ではなかった」が半数を超えており、聞き方によって割れています。
(編集部分析)辞任を「妥当」とする声が8割を超えても、支持率がFNN・産経で横ばい、ANNで大きく下落と分かれたことから、有権者が簗氏個人の問題と政権全体の評価をある程度切り分けて見ている可能性があります。ただし、時事通信の調査では簗氏と関芳弘文科相の起用を「問題だ」とする声が65.9%に達しており、閣僚の身体検査(任命前の確認)の甘さは、政権の看板である「国益優先」の政策を進める力そのものを削ぐ課題として残ります。
高い支持率を支えている背景は何か
FNN・産経の調査では、1年間の実績を「評価する」が62.3%で、支持率とほぼ同じ水準でした。
FNN・産経の調査で、高市内閣の1年間の実績を「大いに評価する」は8.6%、「ある程度評価する」は53.7%で、合わせて62.3%でした。ANNの調査でも、首相の政権運営を「評価する」が50%で、「評価しない」の37%を上回っています。ANNでは、内閣支持率が47.1%だったのに対し、政権運営を「評価する」は50%でした(別の設問です)。
報道各社の1年検証が挙げた要因
各社の1年検証は、首相の言葉の発信力と、方針をぶらさない姿勢を支持の理由として挙げています。
TBSの報道番組「news23」は、高支持率を支えるものとして「高市流の言葉」を挙げ、その発信力が一転して諸刃の剣にもなりうると伝えました。朝日新聞は「支持率維持は『ぶれない』から?」と題して1年を検証しています。日本テレビは、首相側近の「強硬路線の方が若い世代の支持率が上がる」という見方とあわせて、中国に対する姿勢への評価に変化が出ていると報じました。ANNの調査では、首相が中国との関係改善に力を入れる「必要がある」が55%、「必要はない」が35%でした。
(編集部分析)支持の芯にあるのは、言うことが変わらない首相への信頼だと考えられます。対中姿勢について関係改善を求める声が過半数ある一方で、それは原則を曲げてまで譲歩せよという意味とは限りません。主権と安全保障の線を守りながら、対話の窓口をどう保つかを示せるかどうかが、2年目に若い世代の支持をつなぎとめられるかの分かれ目になると評価できます。
石破前首相の批判は何を指摘したか
石破茂前首相は10月19日のBS番組で、高市政治を「要は富国強兵」と述べ、国民の幸福につながるのか疑問を示しました。
J-CASTニュースによると、石破氏は10月19日放送のBS-TBS「報道1930」で、高市首相の「日本列島を強く豊かに」について「要は富国強兵ですよね」と述べました。そのうえで「その時だけよければいいというのは保守じゃない」と語り、対中外交についても懸念を示したとされます。同じ番組では、慶応義塾大の片山杜秀教授が、高市首相の支持を「ナショナリズム、現実至上主義、ポピュリズム」と結びつけて分析したと伝えられています。
(編集部分析)国を豊かにし、自分の国を自分で守る力を持つことは、独立国として当然の目標です。それを「富国強兵」と古い言葉で言い換えて否定的に響かせるのは、論点の立て方として公平とは言いにくいと考えられます。前政権で支持率が伸び悩んだ当事者の発言であることも踏まえて読む必要があります。一方で「国民一人一人が豊かさを実感できているか」という問いは、物価高が続くなかで政権が数字で答えるべき宿題であり、消費減税の中身でそれを示せるかが問われます。
2年目に支持率を左右する課題は何か
当面の最大の焦点は、10月20日に衆院で審議入りした消費減税法案の財源と、閣僚の任命をめぐる説明です。
FNN・産経の調査では、食料品の消費税減税に「賛成」が62.6%でした。一方で、法案の審議で政府は財源を明確に示すべきだとする答えが80.9%に上り、物価高対策として減税は「あまり効果はない」42.4%、「全く効果はない」9.8%と、効果を疑う声も合わせて5割を超えています。減税そのものへの期待と、財源や効果への疑問が同時にある状態です。
法案の中身と審議入りの日の首相答弁は「消費減税法案が衆院審議入り|就業者負担軽減支援金の対象と首相答弁」で整理しています。
簗氏の説明と後任人事
FNN・産経の調査では、簗氏は辞任後も説明すべきだとする答えが69.3%で、問題はまだ終わっていません。
農相の後任には武部新氏が起用されました。起用の理由と経歴は「武部新氏が農相に|簗氏の後任、高市首相「即戦力」と起用した理由と経歴」にまとめています。
(編集部分析)減税は国民の手取りを増やす政策として評価できますが、財源を示さないまま進めれば「結局は将来の増税か国債頼みではないか」という不安を残します。財務省の緊縮路線に流されず、歳出の見直しで財源をどう作るかを具体的な数字で示すことが、支持率を安定させるいちばんの近道だと考えられます。
支持率の次の動きはどこで確かめられるか
次の手がかりは11月の各社の定例調査で、同じ社の10月の数字と比べると流れが読めます。
確かめるときは、次の3点を見ると数字に振り回されません。
- 同じ社の前月と比べる:時事通信は42.4%、NHKは51%、ANNは47.1%、FNN・産経は62.6%が10月の基準です。
- 調査日を確かめる:消費減税法案の衆院採決(与党は11月上旬の通過を目指す)の前か後かで、受け止めが変わる可能性があります。
- 不支持の動きを見る:10月は不支持が3割前後にとどまっています。不支持が支持に近づくかどうかが、政権の勢いを測る目安になります。
11月の各社の調査が公表されたら、下の参考情報にある各報道機関の記事と並べて、10月と11月の支持率・不支持率・調査日を同じ社どうしで比べてください。見出しの「最低」「維持」だけで判断しないことが、数字に振り回されないいちばんの方法です。
高市政権1年の支持率のよくある質問
最後に、高市政権1年の支持率について、検索で多い疑問を整理します。
Q. 9月の内閣改造と党役員人事はどう評価されましたか?
A. 時事通信の10月調査では「評価する」が28.0%、「評価しない」が50.6%で、評価しないが上回りました。
Q. 支持率が5割を初めて割ったのはいつですか?
A. 時事通信の調査では2026年7月で、支持率は49.0%でした。その後も下がり続け、10月は42.4%です。
Q. 自民党の支持率はどうなっていますか?
A. 時事通信の10月調査で22.1%、NHKの10月調査で35.3%でした。内閣支持率と同じく、方式によって水準が大きく違います。
数字は今後の調査で変わります。最新の結果は、下の参考情報から各社の発表で確かめてください。
参考情報
- 時事通信「内閣支持率42%に下落 簗氏続投判断、8割問題視―時事世論調査」(2026年10月15日) https://www.jiji.com/jc/article?k=2026101500705&g=pol
- NHK「高市内閣支持率51% 不支持32% NHK世論調査」(2026年10月13日) https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20261015de59645
- テレビ朝日系(ANN)「ANN世論調査 高市内閣支持率47.1% 発足以来最低」(2026年10月19日) https://news.ksb.co.jp/ann/article/16974840
- FNNプライムオンライン「内閣支持率“横ばい”62.6% 簗氏の大臣辞任は8割超が『妥当』も総理の判断時期は半数が“不適切”【FNN世論調査】」(2026年10月19日) https://www.fnn.jp/articles/-/1135333
- nippon.com「報道各社の高市内閣発足直後の世論調査」(2025年10月30日) https://www.nippon.com/ja/japan-data/h30017/
- J-CASTニュース「『高市さんの政治は富国強兵。人々は幸せにならない』と石破茂前首相が痛烈批判」(2026年10月20日) https://www.j-cast.com/2026/10/20518566.html?p=all
