【10/16】テスラ新型ロードスター発表|空飛ぶRocketの正体と日本の予約682万円・2028年生産

【10/16】テスラ新型ロードスター発表|空飛ぶRocketの正体と日本の予約682万円・2028年生産

テスラは10月15日(米国時間)、新型スポーツカー「ロードスター」を発表しました。SpaceXの技術を使ったスラスター(ガスを噴き出して車体を動かす装置)で宙に浮き、逆さまの坂を走り、ほかの車を飛び越える実演を見せています。生産開始は2028年の予定で、車両価格はまだ発表されていません。

日本でもテスラの公式サイトで予約の受け付けが始まっています。ただし、空中に浮く「Rocket」は公道を走れない1人乗りの特別仕様で、一般向けのすべてのロードスターが飛べるわけではありません。この記事では、発表会で何が起きたのか、3つの仕様の違い、性能の数字の読み方、日本の予約の条件、発売までの見通しを、報道各社の記事と数字の出どころを分けて整理します。

この記事でわかること

  • 飛ぶのは最上位仕様だけ:空中に浮けるのは1人乗り・公道走行不可の「Rocket」で、公道向けの「Performance」は飛びません。
  • 0.81秒は実演の記録:0-60mph(約96km/h)の0.81秒は「Thrust」の実演値で、量産向けの目標は「1秒未満」です。
  • 日本の予約と価格:公式の予約ページでは注文料68万円+10日以内に614万円が必要ですが、車両価格は未発表で、生産は2028年の予定です。
目次

テスラ新型ロードスターとは?10月15日の発表内容

SpaceXと共同開発した3仕様のスポーツカーで、最上位のRocketが宙に浮く実演をし、2028年に生産を始める予定です。

ロイターによると、新型ロードスターはイーロン・マスクCEOが率いるロケット開発企業SpaceXと共同で開発されました。テスラは2017年に2代目ロードスターの試作車を初めて公開し、2020年に納車を始めると表明していましたが、その約束は果たされないまま今回の発表になりました。初代ロードスターは2008年に出荷が始まり、2012年まで販売されたと時事通信は伝えています。

発表会の場所と中継

発表会は米テキサス州マクレガーのSpaceX試験施設で開かれ、テスラの公式サイトで中継されました。

CNET Japanによると、テスラは公式サイトでイベントを配信したほか、公式Xでも技術やデザインを紹介しています。会場には熱心なファンや投資家が集まりました。CNNは、マスク氏が「車の動きがAIによるものではないことを示すために観客が必要だった」という趣旨を語ったと報じています。

実演で見せた3つの動き

実演は「逆さまで坂を駆け上がる」「空中で回って着地する」「並べた車を飛び越える」の3つが中心でした。

各社の報道を合わせると、ロードスターは円を描くように垂直に伸びる湾曲した路面を、車体の下の空気を吸い出す仕組みで張り付くように上り、逆さまの状態で空中へ飛び出しました。そこから向きを戻し、ガスを噴射して落下の速さを抑えながら着地しています。別の実演では、ゆっくり浮き上がり、Cybertruck(サイバートラック)やModel Yなど横一列に並んだテスラ車の上を越えて着地しました。

CNNによると、マスク氏は「誰も死なないようにするため」実演にはドライバーを乗せなかったと説明しています。つまり、今回見せた動きは無人の車両によるものです。

発表の要点を表にまとめます。

項目 内容 出どころ
発表日 2026年10月15日(米国時間) ロイター・時事通信
会場 米テキサス州マクレガーのSpaceX試験施設 ロイター・CNET Japan
共同開発 SpaceX ロイター
生産開始 2028年の予定 ロイター・Impress Watch
車両価格 未発表 ロイター
実演の運転者 乗せていない(無人) CNN

価格と発売時期という、買う側にとって一番大事な2点がまだ決まっていないことが、この表から分かります。

ロードスターは本当に空を飛ぶのか?浮く仕組み

短い時間だけ浮いて空中を移動できることは実演で示されましたが、航空機のように長く飛べることは示されていません。

CNET Japanは「今回披露したのは短時間の浮上と空中移動だ」と書き、長距離の飛行が実証されたわけではないと注意しています。CNNも、車が長い距離を飛ぶ様子は披露されなかったため、本当に空を飛べるかどうかはまだ断言できないと伝えました。「空飛ぶ車」という言葉が先に広がっていますが、実際に見せたのは「跳ぶ・浮く・姿勢を立て直す」までです。

コールドガススラスターとは

高い圧力のガスをノズルから噴き出し、その反動で車体を押す装置で、SpaceXの技術を応用しています。

CNET Japanによると、テスラはこの装置で、タイヤが路面に伝えられる力の4〜5倍に相当する推進力を出せると説明しています。CNNは、車両に10個のノズルと、マスク氏が「超高圧空気タンク」と呼ぶ装置が使われていると伝えました。燃料を燃やすロケットではなく、ためた高圧の空気を噴き出す方式です。

逆さまでも落ちないサクションシステム

車体の下の空気を強いファンで吸い出し、路面との間の気圧を下げて車体を路面に押し付ける仕組みです。

テスラによると、走っているときだけでなく、止まった状態でも逆さまに張り付けるといいます(CNET Japan)。逆さまの坂を上る実演はこの吸い出しの力によるもので、空中に出たあとの姿勢の制御はスラスターが担っています。

浮く・走るの仕組みを図にすると次のようになります。

サクションシステム

車体下の空気を吸い出す → 路面に張り付く → 逆さまの坂も上れる

→

コールドガススラスター

高圧の空気を噴く → 空中で向きを変える・落下を抑える → 着地

張り付く力と噴き出す力の2つを組み合わせて、坂から空中、そして着地までをつないでいる、というのが今回の実演の構造です。

専門家はどう見ているか

空を飛ぶ車には重さの面で大きな壁があり、性能も値段も中途半端になりやすいという見方があります。

CNNの取材に対し、スミソニアン国立航空宇宙博物館のキュレーター、ロジャー・コナー氏は「航空機は重量に非常に敏感だが、地上を走る車両にはバンパーや衝撃吸収帯などが必要になる」と述べ、中間のハイブリッドは低性能の航空機であると同時に低性能の車両となり、値段も非常に高くなると指摘しています。

Performance・Thrust・Rocketの違い

新型ロードスターは3つの仕様に分かれ、空中に浮けるのは最上位の「Rocket」だけです。

テスラの日本語公式ページによると、基本となる「Performance」は予約制の2人乗りで、公道走行に対応し、車体下部の吸引システムと、走る状況に合わせて空気の流れを変える「アクティブエアロ」を備えます。「スラスト(Thrust)」はリミテッドリリースの2人乗りでレース走行に対応し、車体後部にスラスターを足したオプションのアップグレードという位置づけです。「Rocket」は完全招待制の1人乗りで、車体の周りのスラスターで飛行に対応しますが、公道での使用は認められていません。

3つの仕様を並べると、違いがはっきりします。

仕様 乗車 スラスター 公道 売り方
Performance 2人 なし(吸引システム・アクティブエアロ) 対応 予約制(日本の予約ページに出ているのはこれだけ)
スラスト(Thrust) 2人 車体後部に追加 公式ページの記載は「レース走行に対応」 リミテッドリリース(オプションのアップグレード)
Rocket 1人 車体の周りに配置 使用は認められていない 完全招待制(すべての地域で選べるとは限らない)

公式ページで公道走行への対応がはっきり書かれているのはPerformanceで、話題の「空を飛ぶ」動きはRocketの話だと分けて読む必要があります。時事通信も、テスラのホームページの説明として、新型車は公道を走れるものの飛行機能は公道では使えないと伝えています。

3つの仕様の違いで、よく混同される点を1つ補います。

Q. 日本の予約ページから予約すると空を飛べる仕様になりますか?

A. なりません。2026年10月16日時点で日本の予約ページに出ているのはPerformanceだけで、飛行に対応するのは完全招待制のRocketです。

次の章では、話題になった加速の数字がどの仕様のものかを確かめます。

加速0.81秒・最高速370km超の数字の読み方

0-60mphの0.81秒はThrustの実演で出た記録で、量産車の約束として掲げているのは「1秒未満」です。

CNET JapanとImpress Watchによると、発表会で公開された記録映像では、停止状態から時速60マイル(約96km)まで0.81秒で加速しました。Impress Watchは、限定リリースのThrustが0-60mph加速1秒未満を実現し、ライブデモで0.81秒を記録したと書いています。CNET JapanはThrustについて「0.9秒未満」という目標を掲げていると伝えており、媒体によって目標の書き方に差があります。

テスラの車両エンジニアリング責任者ラース・モラビー氏は、最高速度は時速230マイル(約370km)を超えると説明しました(ロイター)。マスク氏は「間違いなく、それよりはるかに速い」と述べています。1回の充電で走れる距離は300マイル(約480km)以上です。

数字とその条件を表に分けます。

数字 どの値か 出どころ
0-60mph 0.81秒 Thrustの実演(記録映像)での記録 CNET Japan・Impress Watch
0-60mph 1秒未満 テスラが示した性能(公式の日本語ページはスラストで「0~100まで1秒未満」、CNET Japanは「0.9秒未満」と記載) ロイター・テスラ公式・CNET Japan
最高速 時速230マイル(約370km)超 テスラの説明 ロイター
航続 300マイル(約480km)以上 1回の充電で走れる距離 ロイター

0.81秒は条件のそろった実演の値なので、買って走る車の性能としては「1秒未満」という目標の側で見ておくのが安全です。

2017年の約束より縮んだ航続距離

航続距離の300マイル以上は、マスク氏が2017年に約束した距離の半分に届きません。

ロイターは、480km以上という数字が2017年に約束した航続距離の半分に満たないと指摘しています。加速と最高速は大きく伸ばした一方で、長く走る性能では当初の約束から下がったことになります。

日本で予約できる?予約に必要な金額

日本でも公式サイトで予約でき、注文料68万円と10日以内の614万円、合わせて682万円の支払いが必要です。

編集部が10月16日にテスラの日本向け予約ページ(https://www.tesla.com/ja_jp/roadster/reserve)を確認したところ、予約の対象はPerformanceで、「本日必要なお支払い」として注文料68万円(全額払い戻し可能)、「お支払い期限10日以内」として614万円が表示されていました。入金が確認できた時点で予約確定となり、10日以内に支払いが終わらないと予約がキャンセルされる場合がある、とも書かれています。自動車メディアのTRANS CARも同じ682万円を報じ、車両価格とは別の支払いだと説明しています。

「5万ドル(約800万円)」との違い

Impress Watchは予約金を5万ドル(約800万円)と書いており、日本の予約ページの円建ての金額とは一致していません。

5万ドルは米国での予約金の額として報じられてきた数字で、9月に予約の受け付けが再開されたときにも同じ額が伝えられていました。日本で実際に求められる金額は、上の予約ページの円建ての表示が基準になります。

614万円は返ってくるのか

全額払い戻し可能と書かれているのは注文料の68万円で、614万円の返金条件は予約ページの表示だけでは読み取れません。

予約ページには「変更しても返金は行われません」という一文もあります。614万円を払う前に、予約時に示される契約書面で、キャンセルしたときに614万円がどう扱われるかを確かめておく必要があります。

買えるのは左ハンドル仕様だけ

テスラの日本語公式ページと予約ページには「左ハンドル仕様車のみ購入可能です」と書かれています。

日本で売られている多くの車は右ハンドルです。左ハンドルの車は、追い越しや料金所、駐車場の発券機などで使いにくい場面があります。公式ページは、提供状況は各地域の法的要件によって異なるとも注記しています。

発売日と価格はいつ?2028年生産と延期の歴史

生産開始は2028年の予定ですが、発売日と価格は未定で、テスラはこれまで何度も予定を遅らせています。

Impress Watchは、販売開始の時期は未定だと伝えています。CNNは、テスラが約束した開発計画を再三遅らせてきたと指摘しました。2017年に試作車を見せたときの「2020年納車」は実現せず、今回の発表会も当初は10月1日に予定されていたと報じられていました。

これまでの流れを時系列で並べます。

2008年 初代ロードスターの出荷が始まる(2012年まで販売)

2017年 2代目の試作車を公開。2020年に納車を始めると表明

2020年 納車は始まらず

2026年10月15日 SpaceXの施設で新型ロードスターを発表(当初は10月1日の予定と報道)

2028年 生産開始の予定。価格・発売日は未定

試作車の公開から量産の予定まで11年かかる計算で、2028年という目標も確定した日付ではないと見ておく必要があります。

デザインと室内の特徴

外観は偵察機SR-71や戦闘機F-35が着想のもとで、室内は白が基調、軽い素材を随所に使っています。

テスラは公式Xで、デザインの着想を偵察機SR-71や戦闘機F-35から得たと説明しています。

CNET Japanによると、格納式のヘッドライト、横一文字のテールライト、凹凸を抑えた外装、軽いホイールを採用しました。宇宙服のバイザーを思わせる金色のガラスも特徴です。アクティブエアロの一部の可動部には、人型ロボット「Optimus」向けに作ったアクチュエーター(動かすための部品)を使っています。室内は白が基調で、マグネシウム、チタン、カーボンファイバーなどの軽い素材を使い、車体を軽くしています。

Impress Watchは、Performanceが自動運転を進めるテスラの中で唯一のマニュアルモデルになると伝えています。運転を楽しむための車として位置づけていることがうかがえます。

買う前に知っておきたい注意点

注目すべきは技術の見せ方より、価格未定・左ハンドル・生産時期の不確かさという、買う側の条件です。

公式に示されているのは3つの仕様と、Rocketが公道で使えないこと、左ハンドル仕様のみであることです。生産開始の2028年は目標で、車両価格と日本での納車時期はまだ示されていません。

予約を考えている人は、支払いの前に次の5点を公式の予約ページと契約書面で確かめてください。

  1. その時点の日本向けの支払い額(2026年10月16日時点は68万円+614万円)
  2. 614万円を払ったあとにキャンセルしたときの扱い
  3. 予約の対象になる仕様(日本はPerformance)
  4. 左ハンドル仕様で日常の運転に困らないか
  5. 車両価格と納車時期が決まっていないことを受け入れられるか

(編集部分析)派手な実演で「空飛ぶ車」の印象が先に広がりましたが、日本で予約できるのは飛ばない公道仕様です。車両価格も納車時期も示されないまま682万円の支払いを先に求められる形で、生産が遅れた場合に待つ期間の負担は買い手の側にかかると評価できます。2017年の試作車公開時の「2020年納車」が実現しなかった経緯を考えると、返金の条件を確かめたうえで、余裕資金の範囲で判断するのが現実的です。

(編集部分析)一方で今回の発表は、テスラが加速や航続距離の数字だけでなく、張り付く・浮くという「体験」を前面に出したものと編集部はみています。

テスラの日本での動きとしては、9月に無人タクシー「サイバーキャブ」の日本初公開もありました。経緯は「Cybercab Japan Tourの会場と日程|テスラの無人タクシー「サイバーキャブ」日本初公開」で整理しています。

テスラ新型ロードスターのよくある質問

予約の手続きで出てきそうな疑問に答えます。

Q. 予約の支払いはどうやってしますか?

A. 日本の予約ページには「カードで支払う」のボタンがあり、注文料68万円をその場で支払う形です。

Q. 予約したあとで内容を変えると返金されますか?

A. 予約ページには「変更しても返金は行われません」と書かれています。変える可能性がある人は、支払いの前に条件を確かめてください。

Q. 日本でRocketを選ぶことはできますか?

A. 日本の予約ページには出ていません。公式ページは、Rocketはすべての地域で利用できない場合があると注記しています。

価格や日本での納車時期が発表されたら、この記事に追記します。

参考情報

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