【10/28】統一名簿方式とは|自維国が定数31減で合意した中身

衆院の議員定数削減をめぐり、2026年10月28日の政党間協議で、自民党・日本維新の会・国民民主党の3党の実務者が、比例代表を31議席減らす自民党の修正案に合意しました。国民民主党が賛成に回る決め手になったのが、複数の政党が比例代表の候補者を1つの名簿にまとめる「統一名簿方式」の導入です。修正案には比例の中国ブロックと四国ブロックの統合も入りました。この記事では、統一名簿方式とは何か、3党が合意した修正案の中身、国民民主と維新が受け入れた理由、反対する野党の主張、29日の正式合意から法案成立までの日程を、ANN・日本テレビ・共同通信・TBSなどの報道をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 統一名簿方式:複数の政党が比例代表の候補者名簿を1つにまとめて選挙に臨むやり方で、今の公職選挙法には明確な定めがありません。
  • 合意の中身:比例定数31削減、中国・四国ブロック統合、統一名簿方式、比例の配分方式の変更、復活当選の厳格化を1つの案にまとめたものです。
  • 今後:3党は10月29日の幹事長会談で正式に合意し、今の国会に法案を出して成立を目指す方針です。
目次

統一名簿方式とは何か

複数の政党が比例代表の候補者を1本の名簿にまとめ、その名簿として票を集める選挙協力のやり方です。

衆院の比例代表は、全国11のブロックごとに、政党があらかじめ順位を付けた候補者名簿に投票する仕組みです。ふつうは党ごとに別々の名簿を出しますが、統一名簿方式では、いくつかの党が名簿を1本化します。北海道新聞の用語解説(2026年1月15日)は、複数の政党が1つの政治団体をつくって名簿を一本化する手法で、参加しても解党する必要はなく、批判票の受け皿を1つにして死票を減らす効果があるとされる、と説明しています。

今の公職選挙法には明確な定めがない

統一名簿方式は今の公職選挙法に明確な規定がなく、修正案はこれを制度として認める内容です。

北海道新聞は、統一名簿方式について公職選挙法に明確な規定はないと書いています。そのため、これまで構想として語られるときは、参加する党がいったん新しい政治団体をつくり、その団体の名簿として届け出る形が想定されてきました。ANNは、今回の修正案に「比例代表で統一名簿を認めること」が盛り込まれたと伝えています。どの党がどんな条件で名簿を一緒にできるのか、新しい政治団体が要るのかといった細かな決まりは、10月28日時点の報道では示されていません。法案の条文が出た時点で確かめる必要があります。

なぜ統一名簿方式が中小政党に効くのか

党ごとの得票では議席に届かない小さな党でも、票を合わせれば議席を取りやすくなるためです。

比例代表の議席は、ブロックごとの得票に応じて配られます。小さな党が別々に名簿を出すと、それぞれの得票では1議席に届かず、票が議席に結びつかない「死票」になりやすくなります。名簿を1本にすれば、合わせた得票で議席を争えます。定数が減ると1議席を取るのに必要な票は増えるので、定数削減と統一名簿方式は、小さな党にとって裏と表の関係にあります(編集部の整理)。

10月28日に3党が合意した修正案の中身

比例定数の31削減を軸に、ブロック統合、統一名簿方式、配分方式の変更、復活当選の厳格化を束ねた案です。

自民党の鈴木馨祐氏は10月22日に比例定数を31減らす折衷案を示し、27日にはそれに新しい見直し項目を加えた修正案を出しました(共同通信)。鈴木氏は各党に、定数削減と他の見直しを「一つのパッケージ」として判断してほしいと呼びかけたと報じられています。修正案の中身は次のとおりです。

項目 今の制度 修正案
比例代表の定数 176 31削減して145(自民・維新の法案は45削減)
衆院の定数 465(小選挙区289+比例176) 434(小選挙区は変えない場合・編集部の計算)
比例のブロック 全国11ブロック 中国と四国を統合
名簿の出し方 党ごと(明確な定めなし) 統一名簿方式を認める
比例の議席の配り方 ドント式 配分方式を変更(修正サンラグ式と報道)
復活当選 小選挙区の有効投票の10分の1以上 基準を厳格化(22日の案は6分の1)

表の定数は公職選挙法の現在の規定にもとづきます(e-Gov法令検索・公職選挙法)。比例の31削減がどのブロックで何議席ずつになるかは、10月28日時点の報道では示されていません。

3党の実務者が合意し、29日に正式合意へ

28日の協議で3党の実務者が合意し、29日の幹事長会談で正式に決める段取りです。

ANNによると、28日の協議では、ほぼすべての野党が反対を表明するなかで、国民民主党が賛成に回りました。鈴木氏は「私の示した折衷案に賛同をいただいたということについては、敬意を表させていただきたい」と述べています。3党は29日の幹事長会談で正式に合意したうえで、今の国会に法案を出し、成立を目指す方針です。日本テレビは、3党の合意で、与党が少数の参議院でも過半数を確保するめどが立ったと伝えています。

国民民主党はなぜ31削減に賛成したのか

党が求めてきた統一名簿方式やブロック統合が修正案に入ったため、19削減の主張から歩み寄りました。

日本テレビによると、国民民主党はこれまで比例代表の19議席削減を主張していました。しかし、党として求めていた統一名簿方式の導入などが修正案に盛り込まれたことを受け、31削減案に賛成する方針を決めました。共同通信系の報道でも、中国・四国ブロックの統合と統一名簿方式は国民民主党が求めていた項目だとされています。国民民主党の古川元久氏は、27日の協議の段階で、意見を取り入れてもらったことを評価すると述べていました。

玉木雄一郎代表も10月24日の時点で、31削減の案について、人口減少が根拠になっている点に一定の理解を示していたとNHKは伝えています。自民党の鈴木氏は、31という数字は人口減少の推計をもとに出したと説明しています(共同通信、10月22日)。

国民民主の賛成が持つ意味

日本テレビは、国民民主党の賛成で、与党が少数の参議院でも過半数を確保するめどが立ったと報じています。

自民・維新の与党は衆院に比例45削減の法案を出していますが、野党の反対で進んでいませんでした。日本テレビは、こう着状態が続いていた議論が、3党の合意で法案成立に向けて大きく前進したとも伝えています。31という数字は、国民民主の19と維新の45の間をとった形です。

維新はなぜ45削減から31削減を受け入れたのか

自党だけでは45削減を通せないため、悔しさを認めつつ「次のステップ」として31削減を受け入れました。

TBSによると、日本維新の会の藤田文武共同代表は28日、「議員定数削減については筋論として私たちは『45』でお約束してきたというのが大前提」としたうえで、「私たちだけの力で通せるわけではありませんので、大変悔しいところではありますけれども次のステップに進ませていただく」と述べ、31削減案を受け入れると表明しました。維新は28日午後の役員会で賛否を協議し、受け入れを決めています。

藤田氏は「31議席の削減は目標の7割ほどだが、戦後1番大きな削減だ」とも話しました。自民党と維新は連立政権の合意で議員定数の削減を掲げ、比例45削減の法案を共同で国会に出していました。これまでの経緯は「衆院定数31減とは|鈴木幹事長の「腹案」と45減の差」で整理しています。

中国・四国ブロックの統合で何が変わるのか

比例の中国ブロック(定数10)と四国ブロック(定数6)が1つになり、より広い範囲で議席を争います。

今の公職選挙法では、比例代表の定数は中国ブロックが10、四国ブロックが6です。四国ブロックは11ブロックの中で最も定数が小さく、定数が少ないブロックでは1議席を取るのに必要な票が多くなるため、小さな党が議席を得にくい構図があります。2つを合わせれば定数16前後の大きなブロックになり、得票の少ない党にも議席の可能性が広がります(編集部の整理)。

ただし、31削減の内訳がブロックごとに決まっていないため、統合後のブロックの定数がいくつになるかは、10月28日時点では分かっていません。比例の定数が全体で減れば、統合したブロックでも定数が減る可能性があります。統合によって鳥取・島根・岡山・広島・山口と徳島・香川・愛媛・高知の9県が1つの選挙区になるため、候補者が回る範囲は広がります。

反対する野党は何を主張しているのか

共産党などは、定数削減は民意を削り、国会の行政監視の力を弱めるとして反対しています。

ANNは、28日の協議でほぼすべての野党が反対を表明したと伝えています。日本共産党の機関紙しんぶん赤旗によると、27日の協議で共産党の塩川鉄也氏は、定数削減は「民意を削り行政監視機能を弱める」として断じて認められないと述べました。塩川氏は、日本の衆院議員は人口約26万人に1人で、主要国の10万〜15万人に1人と比べて少ないと主張し、人口が増えても定数を増やしてこなかったのに人口減を理由に減らすのは筋が通らないと批判しています。修正サンラグ式などの「少数政党への配慮」についても、与党の議席の割合を高める結果になると指摘しました。

公明党も、これまでの協議で比例45削減は全く受け入れられないとし、比例だけを削るのは民意の反映を削ることになると反対してきました。

(編集部分析)議員1人あたりの人口を国際比較する議論には、国ごとに上院の有無や地方議会の役割が違うため、単純に並べられない面があります。一方で、比例の定数を減らせば1議席を取るのに必要な票が増え、小さな党が議席を得る入口が細くなる可能性は、制度設計の大事な論点です。だからこそ、統一名簿方式やブロック統合で小さな党の入口を残す工夫が、定数削減と一緒に入った意味は小さくありません。賛否を決める前に、法案の条文で入口がどこまで確保されるかを確かめるべきだと考えます。

保守の立場から見た3党合意の意味

政治が自ら身を切る姿勢を示した点は評価できる一方、新しい政党の芽を摘まない設計かが問われます。

定数削減は、維新が「身を切る改革」として訴えてきた政策です。3党合意によって、議員の数を減らす改革が、反対論の強い中で実現に近づきました。

(編集部分析)国民に負担を求める前に、議員自身が数を減らすという姿勢は、政治への信頼を取り戻すうえで意味があります。ただし、選挙の仕組みを決めているのは、今の仕組みで当選している議員自身です。比例を削れば、既成の大政党に飽き足らない有権者の受け皿となってきた新しい政党ほど議席を失いやすくなります。統一名簿方式は、そうした新しい政党が手を組んで議席を確保する道にもなり得ます。誰が得をするのかという問いを忘れず、統一名簿の条件が既存の大政党だけに都合よく作られていないか、法案の段階で数字と条文で確かめる必要があります。

9月以降の協議の流れは「比例復活の厳格化とは|得票6分の1と定数31減の与党案」でも整理しています。

今後の日程:29日の正式合意から法案成立まで

29日に3党の幹事長が正式合意し、今の臨時国会に法案を出して成立を目指します。

ここまでの主な動きと今後の予定を、時間の順に並べます。

10月7日
自民の幹事長が会見で「31」に言及し、のちに撤回
10月22日
鈴木馨祐氏が比例31削減の折衷案を提示(共同通信)
10月27日
中国・四国ブロック統合と統一名簿方式を加えた修正案を提示(共同通信)
10月28日
維新と国民民主が賛成を表明し、3党の実務者が合意(ANN・日本テレビ)
10月29日
3党の幹事長会談で正式合意の予定
今の国会
31削減案をもとにした法案を提出し、成立を目指す

自民党の村井国会対策委員長は、今の臨時国会で31削減案をもとにした法案を出し、成立を目指す考えを示しています(日本テレビ)。これから自分で確かめるときは、次の点を見るのが近道です。

  • 29日の幹事長会談:正式合意の文書に、統一名簿方式とブロック統合がどう書かれるか。
  • 法案の条文:31削減のブロックごとの内訳と、統一名簿を組むときの条件。
  • 国会の審議:反対する野党がどんな修正を求め、会期内に衆参で成立するか。

正式合意や法案の中身が分かった時点で、この記事に追記します。

統一名簿方式と定数削減のよくある質問

本文で触れきれなかった周辺の疑問をまとめます。

Q. 定数削減の法案はもう国会に出ているのですか?

A. 自民・維新は比例45削減の法案をすでに衆院に出しており、継続審議になっています。今回はそれとは別に、31削減案をもとにした法案を今の国会に出す方針と報じられています。前の法案をどう扱うかは、10月28日時点の報道では示されていません。

Q. 修正案にある「配分方式の変更」とは何ですか?

A. 比例の議席を各党の得票に応じて配る計算のやり方を変えることです。今のドント式は得票を1、2、3……で割って商の大きい順に配りますが、サンラグ式は1、3、5……と奇数で割るため、中小政党に議席が回りやすくなります。報道では修正サンラグ式とされていますが、割る数の具体的な決め方は10月28日時点で示されていません。

Q. 次の衆院選から新しい制度になるのですか?

A. 法案が今の国会で成立すれば適用に近づきますが、いつの選挙から使うかは10月28日時点の報道では示されていません。施行日は法案で確かめる必要があります。

情報は2026年10月28日時点のものです。最新の動きは下の参考情報で確かめてください。

参考情報

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