【10/12】横浜市長選の情勢|共同通信調査で原沢氏優位、山中・中谷氏が追う

10月18日投開票の横浜市長選挙で、共同通信が10月10日と11日に行った電話調査と取材をもとにした情勢分析によると、自民・維新・国民の県組織が推薦し公明党市議団が支持する弁護士の原沢敦美氏(59)が優位に立ち、前市長の山中竹春氏(54)と、立憲民主党県連が支援する元衆院議員の中谷一馬氏(43)が追う展開です。ただし回答者の3割弱はまだ投票先を決めていません。

この記事では、共同通信の情勢調査で分かった支持層ごとの数字、パワハラ問題を投票でどれだけ重視するかの回答、選挙戦の折り返しで見えてきた論点と各候補の子育て・経済政策、残り1週間の投票日程を、報道と市の公式情報をもとに整理します。告示日の顔ぶれと経緯は、10月4日の記事で扱っています。

この記事でわかること

  • 情勢:共同通信の調査では原沢敦美氏が優位、山中竹春氏と中谷一馬氏が追っています。
  • 支持層:原沢氏は自民支持層の7割近く、無党派層の3割弱を固め、無党派層の山中氏は2割弱です。
  • 変わる余地:投票先を決めていない人が3割弱いて、パワハラ問題を「重視する」「ある程度重視する」は合わせて75%を超えました。
目次

横浜市長選の情勢は?共同通信の調査で原沢敦美氏が優位

共同通信の情勢分析では、原沢敦美氏が優位に立ち、山中竹春氏と中谷一馬氏が追う展開で、ほかの4人は名前が挙がっていません。

日本経済新聞が10月11日18時12分に掲載した共同通信の配信記事によると、調査は10月10日と11日の2日間、電話で行い、取材結果を加えて情勢を探りました(日本経済新聞)。同じ記事は新潟日報や山陰中央新報など共同通信の加盟紙にも掲載されています(新潟日報)。

共同通信の調査はいつ、どうやって行われたか

調査は告示から1週間後の10月10日と11日に電話で行われ、取材結果を加えた分析です。回答者数は記事に書かれていません。

報道各社の情勢調査は、候補ごとの支持率を数字で出さず、「優位」「追う」といった言葉で差を表すのが通例です。今回も候補ごとの支持率は公表されておらず、数字で示されたのは支持層ごとの固め具合と、未定の人の割合、パワハラ問題の重視度だけです。調査で分かったことを表にまとめます。

項目 共同通信の調査結果(10月10日・11日)
全体の情勢 原沢敦美氏が優位。山中竹春氏と中谷一馬氏が追う
自民支持層 原沢氏が7割近くを固めた
立憲民主支持層 中谷氏が4割強を固めた
無党派層 原沢氏が3割弱、山中氏が2割弱
投票先を決めていない人 回答者の3割弱
パワハラ問題の重視度 「重視する」「ある程度重視する」が合わせて75%超

表のとおり、数字が出ているのは支持層の内訳までで、7人それぞれの支持率ではありません。「優位」がどれほどの差なのかは、記事からは分かりません。

「優位」と「追う」はどれくらいの差なのか

差の大きさは数字で公表されていないため分かりません。確かなのは、記事の時点で原沢氏が先頭と見られていることです。

情勢調査の言葉は、新聞社や通信社がそれぞれの基準で選んでおり、同じ「優位」でも社によって意味が異なります。基準は公表されていないので、ほかの社の記事と言葉だけを並べて差を比べることはできません。神奈川新聞も10月11日夜、独自の電話調査にもとづく情勢分析を報じています。また、3割弱が投票先を決めていない段階の分析なので、残り1週間の動きで順位が入れ替わる余地は残っています。

読者が数字で確かめられる手がかりとしては、前回の結果があります。2025年8月3日の市長選で山中氏は66万3876票、得票率52%で再選し、投票率は41.64%でした(神奈川新聞)。前回は自民・公明・立憲の地方組織の支持を受けての大勝でしたが、今回はそのどれも山中氏を支援していません。

3割弱が投票先未定 横浜市長選の情勢はまだ変わるのか

変わる可能性があります。回答者の3割弱が投票先を決めておらず、共同通信も情勢が変わる可能性があると伝えています。

横浜市選挙管理委員会の発表では、告示前日の10月3日に決まった選挙人名簿の登録者数は314万5383人です(横浜市選挙管理委員会)。前回並みの投票率41.64%で単純に計算すると、投票に行く人は約131万人になります。そのうち3割弱が決めていないとすると、まだ動いていない票は数十万票の規模になり、前回の山中氏の得票66万票と比べても小さくありません。これは単純な掛け算による目安で、調査の回答者と実際の投票者は一致しない点に注意が必要です。

7人が立候補した今回は、2021年の8人に次ぐ混戦です(神奈川新聞)。(編集部分析)候補が多いほど票が散りやすく、3割弱の未定の人がどこへ向かうかが結果を左右する可能性があるとみます。

パワハラ問題は横浜市長選の投票にどう響くか

共同通信の調査では、パワハラ問題を投票で「重視する」「ある程度重視する」と答えた人が合わせて75%を超えました。

山中氏は2026年1月に元人事部長の内部告発でパワハラが表に出て、7月に公表された第三者調査の報告書で「ポンコツ」「人間のクズ」といった幹部職員への暴言や、人事権を背景にした職員支配などを認定されました。9月7日に辞職し、今回の市長選に再び立候補しています(毎日新聞)。認定の中身と辞職までの経緯は「【8/28】横浜市長・山中竹春氏が辞職へ|パワハラ7項目認定の中身と市長選はいつ行われるのか」で整理しています。

一方で、産経新聞が10月12日に伝えた街の声では評価が分かれています。組織を威圧するかもしれない人には投票しないという33歳の会社員がいる一方、子育て支援など山中氏の市政の実績を投票の判断材料にするという36歳の男性もいました。

(編集部分析)「重視する」が4人に3人を超えたことは、市の第三者調査が認定した事実を、多くの有権者が軽く見ていないことを示していると評価できます。ただし「重視する」が必ず「山中氏に投票しない」を意味するわけではなく、パワハラを重く見たうえで実績を取る人もいます。数字を「反山中が75%」と読み替えるのは行き過ぎで、この点は結果が出るまで決めつけられません。

原沢氏・山中氏・中谷氏の支持はどこまで固まったか

原沢氏は自民支持層と無党派層、中谷氏は立憲支持層と地盤の地域、山中氏は無党派層の一部を固めつつあります。

主要3候補の支持の広がりを、共同通信の調査と告示日の報道から候補ごとに見ます。

原沢敦美氏 自民支持層の7割近くと無党派層の3割弱

原沢氏は自民支持層の7割近くを固め、無党派層でも3割弱の支持を集め、共同通信の情勢分析で3人の中の優位に立っています。

原沢氏は弁護士で、航空整備士を務めた経歴があります。地元経済界の一部に擁立され、自民党、日本維新の会、国民民主党の各県組織が推薦し、公明党市議団が支持しています(時事通信)。告示日の第一声では「市職員の笑顔を取り戻し、市民の笑顔につなげる」と訴えました。

山中竹春氏 無党派層の2割弱、政党の支援なし

山中氏は政党の支援を受けずに戦っており、無党派層では2割弱の支持で原沢氏を追っています。

毎日新聞によると、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致反対の立場から山中氏を後押ししてきた港湾運輸業界は、今回も山中氏を支援しています。山中氏は第一声でパワハラ問題を謝罪し、「しっかり反省して、再び市長として市民の政策を続けていく」と述べました(時事通信)。

中谷一馬氏 立憲支持層の4割強と衆院の地盤

中谷氏は立憲支持層の4割強を固め、衆院議員だったころの選挙区を中心に支持を広げています。

中谷氏は神奈川県議と衆院議員を務め、過去2回の市長選で山中氏を支えた立憲民主党県連の支援を受けています(神奈川新聞)。立憲支持層の残り半分以上がどこに流れているかは、記事では示されていません。前回は立憲県連が山中氏を支持しましたが、今回は中谷氏を支援しています。

福山氏・浅賀氏ら4人は何を訴えているか

情勢記事で名前が出なかった4人も、子育て支援と経済政策を中心に独自の主張を掲げています。

参政党が推薦する会社経営の福山敦士氏(37)は、昨年の市長選に続く2度目の挑戦です。共産党公認の浅賀由香氏(46)、市民団体代表の藤川祥子氏(51)、プリツカー賞を受けた建築家の山本理顕氏(81)も立候補しています。読売新聞は、7人の多くが子育て支援を重点に掲げていると報じました(読売新聞)。選挙公報などから読売新聞がまとめた子育てと経済の主張を、表にします。

候補(年齢) 子育て支援 経済・暮らし
藤川祥子(51) 「税金はまず家計・子育て・福祉に」 水道料金などの負担軽減
山中竹春(54) 「もっと子育てしやすい横浜へ」 「若者が夢を持って働ける横浜へ」
中谷一馬(43) 無痛分娩への助成(上限10万円)、第2子以降の保育料ゼロ 「横浜の経済をかえる」
原沢敦美(59) 子育て支援をさらに充実 企業を呼び込み、働く場所と雇用を生む
福山敦士(37) 0〜2歳児の保育料無償化 「稼ぐ」都市へ、市に「営業局」を新設
山本理顕(81) 町内会ごとの「町内会サロン」に幼児・学童の支援機能 (読売新聞の記事では言及なし)
浅賀由香(46) 市営バス・地下鉄の運賃を18歳まで子ども運賃に (読売新聞の記事では言及なし)

表のとおり、子育て支援はほぼ全員が掲げています。読売新聞は、政策を実現するための財源も重要な論点だと指摘しています。

選挙戦の折り返しで何が論点になったか

前市長5年間の評価、子育て政策の財源、山下ふ頭の跡地利用の3つが、討論会と街頭で繰り返し問われています。

産経新聞によると、7人は10月5日、選挙情報サイト「選挙ドットコム」の運営会社が主催したネット討論会に参加し、市政の評価や財源、IRを巡って論戦を交わしました。山中氏は冒頭で陳謝したうえで、自身の5年間の市政への評価を6人全員に質問しました。

山中市政5年の評価をめぐるやりとり

子育て政策を評価する声が出た一方、福山氏、中谷氏、浅賀氏らはそれぞれの立場から課題を指摘しました。

産経新聞によると、福山氏は「アップデートの余地がある」と述べ、中谷氏は「(辞職後の)リーダー不在で政策が止まった」と批判しました。浅賀氏は「パワハラを受けた職員への被害回復がされていない」と責任を問い、藤川氏は「カジノは止めたが、山下ふ頭に何を作るのか」と疑問を投げかけました。

子育て政策の財源をどうするか

原沢氏は、スタートアップ企業の誘致とふるさと納税で市の収入を増やす考えを示しました。

同じ討論会で、経営者の福山氏が原沢氏に市の収入を増やす方法を質問しました。産経新聞によると、原沢氏は「法人税はスタートアップ企業の誘致、個人税はふるさと納税で他県から収入が得られるようにする」との考えを示しました。浅賀氏は大規模開発が行き過ぎている部分があるとして予算配分の見直しを、山本氏は観光収入の可能性を挙げています。

(編集部分析)7人そろって子育て支援を掲げる中で、有権者が見分けるべきは「何を配るか」より「どこからお金を持ってくるか」です。給付や無償化は一度始めると簡単にはやめられず、将来の市民の負担として残ります。企業誘致や独自の営業で稼ぐ道を示す候補と、予算の付け替えで賄う候補とでは、横浜という大都市の財政の自立に与える影響が違うと評価できます。

横浜市長選の投票日と期日前投票はいつまでか

投票日は10月18日(日)で、期日前投票は10月17日(土)まで各区で受け付けています。

選挙の流れを、告発から投開票までの順に並べます。

2026年1月
元人事部長が実名で内部告発
7月
第三者調査がパワハラを認定
9月7日
山中氏が辞職
10月4日
告示・7人が立候補
10月10〜11日
共同通信の情勢調査
10月18日
投開票(午前7時〜午後8時)

投票所や期日前投票所の場所と時間は区ごとに違うため、横浜市選挙管理委員会のページで確かめてください(横浜市選挙管理委員会)。選挙公報は投票日の2日前の10月16日までに各世帯へ届きます。告示日の顔ぶれと推薦の構図は「【10/4告示】横浜市長選に7人立候補|山中前市長の出直し出馬と争点・投票日」にまとめています。

保守の目線で横浜市長選の情勢をどう見るか

(編集部分析)国政で立場の違う自民・維新・国民・公明が一人に乗った結果、組織の力が数字に出た情勢と読めます。

前回2025年の市長選では、自民・公明・立憲の地方組織がそろって山中氏を支え、山中氏が52%の得票で大勝しました。今回、その支援はすべて離れ、自民などは原沢氏、立憲は中谷氏に回っています。共同通信の調査で原沢氏が自民支持層の7割近くを固めたのは、この組織の乗り換えが有権者の側でもおおむね進んでいることを示しています。

(編集部分析)ただし、誰が得をするのかという問いは、どの陣営にも向けておく必要があります。原沢氏は地元経済界の一部が擁立した候補で、山中氏には港湾運輸業界が付いています。市長が代わっても、市政が特定の団体の意向で動く構図が変わらないのであれば、市民にとっての前進は小さいと言えます。

(編集部分析)もう一つの論点は、1年2か月で2度目の市長選になった費用と、市政が止まった時間です。誰が当選しても、市長の強い人事権を外から点検する仕組みを作ること、職員が萎縮せずに告発できる窓口を市長から切り離すことが、最初の仕事として問われると評価できます。

投票まで残り1週間です。横浜市の有権者は、10月16日までに届く選挙公報で7人の財源の示し方を読み比べ、区の選挙管理委員会のページで期日前投票所を確かめたうえで、17日までの期日前投票か18日の投票日に1票を投じることができます。

横浜市長選の情勢についてよくある質問

本文で扱わなかった、情勢調査そのものと開票についての疑問に答えます。

Q. 情勢調査の回答者の数は公表されていますか?

A. 今回の共同通信の配信記事には、回答者数も候補ごとの支持率も書かれていません。公表されているのは調査日(10月10日・11日)と電話調査という方法、支持層ごとの割合までです。

Q. 開票結果はいつごろ分かりますか?

A. 投票は10月18日午後8時に締め切られ、その夜に開票されます。当選確実の報道は、差が大きければ締め切り直後、接戦なら深夜になることがあります。kenyaku.workでも結果が分かりしだい整理します。

Q. 当選するには何票必要ですか?法定得票数はありますか?

A. 最も多くの票を得た候補が当選しますが、有効投票総数の4分の1に届かないと当選できません(公職選挙法95条の法定得票数)。届く候補がいなければ当選人がないことになり、公職選挙法109条により再選挙が行われます。

ここで取り上げた数字と発言は、次の報道と公式情報で確かめられます。

参考情報

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