【10/25】栗東市長選の結果|新人の九里学氏が初当選、自公推薦の現職・竹村健氏に1955票差 ホースパーク見直しを訴え・投票率は過去最低38.06%

【10/25】栗東市長選の結果|新人の九里学氏が初当選、自公推薦の現職・竹村健氏に1955票差 ホースパーク見直しを訴え・投票率は過去最低38.06%

10月25日に投開票された滋賀県の栗東(りっとう)市長選挙は、無所属新人で元滋賀県議の九里学(くのり・まなぶ)氏(63)が1万1504票を得て初当選しました。自民党と公明党が推薦した無所属現職の竹村健(たけむら・やすし)氏(60)は9549票で、1955票差で再選を逃しています。

現職が政党の推薦と組織の応援を受けながら、1期で退く結果になりました。争点の一つは、竹村氏が「公約の一丁目一番地」と位置づけてきた「栗東ホースパーク」事業で、九里氏は費用面の検証を訴えていました。投票率は38.06%で、過去最低だった前回2022年をさらに下回りました。

この記事では、両候補の得票と投票率、前回2022年との違い、両候補の経歴と訴え、ホースパーク事業とは何か、新市長が最初に向き合う課題を、選挙ドットコムや中日新聞などの報道をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 結果:九里学氏が1万1504票で初当選。現職の竹村健氏は9549票でした。
  • 投票率:38.06%で、前回2022年の38.97%を0.91ポイント下回り、過去最低を更新しました。
  • 争点:栗東ホースパーク事業の是非、子育て政策、財政運営が問われました。
目次

栗東市長選2026の結果は?九里学氏が1万1504票で初当選

栗東市長選は新人の九里学氏が1万1504票で初当選し、現職の竹村健氏に1955票の差をつけて勝ちました。

任期満了に伴う選挙で、10月18日に告示され、無所属の2人による一騎打ちになりました。選挙ドットコムがまとめた確定結果は次のとおりです。

候補者 年齢・区分 推薦 得票 得票率
九里学(当選) 63・新人(元県議) 政党の推薦なし 11,504票 54.6%
竹村健 60・現職 自民・公明推薦 9,549票 45.4%

表の得票と得票率は選挙ドットコム、推薦は京都新聞と産経新聞の報道によります。得票率は2人の得票の合計(2万1053票)を分母にした値で、得票差の1955票とあわせて、2人の得票から編集部が確かめました。

中日新聞によると、当選確実の知らせは25日午後11時過ぎに届き、事務所では支援者が歓喜するなか、九里氏が万歳で喜びました。

読売新聞によると、九里氏は市民との対話で「まちを変えてほしい」という声や、物価高で暮らしが大変だという声を聞いたと振り返り、「ほとんどの市議が現職を支援したことを真摯に受け止めなければならない」と述べました。一方の竹村氏は、落選が決まったあと市商工会館で支持者に頭を下げ、「私の不徳のいたすところ、大変申し訳ありませんでした」と述べています。

投票率38.06%は前回と比べてどうか

投票率38.06%は、過去最低だった前回2022年の38.97%を0.91ポイント下回り、過去最低を更新しました(読売新聞)。

選挙ドットコムによると、当日有権者数は5万5668人(男性2万7362人、女性2万8306人)で、前回より551人増えました。投票率は当日有権者数を分母にした値です。告示前日の10月17日時点の選挙人名簿登録者数は5万6510人でした(産経新聞)。

有権者が増える街で投票率は過去最低となり、投票に行ったのは有権者の4割に届きませんでした。それでも、現職と新人の票は約2千票の差で分かれています。

前回2022年の結果とどう違うか

前回1万1319票で初当選した竹村氏は今回1770票減らし、九里氏は前回の竹村氏の票数を上回りました。

政治山によると、2022年10月30日の前回選挙は、元県議の竹村氏(当時56)と元市議の上石田昌子氏(同56)の新人2人による一騎打ちでした。竹村氏が1万1319票(得票率53.4%)で勝ち、当日有権者数は5万5117人、投票率は38.97%でした。今回と並べると次のようになります。

2022年(新人同士・投票率38.97%)

竹村健氏 11,319票(53.4%)で初当選
元市議の上石田昌子氏との一騎打ち

→

2026年(現職対新人・投票率38.06%)

九里学氏 11,504票(54.6%)で初当選
現職の竹村氏は9,549票(1,770票減)

図のとおり、投票率はほぼ同じなのに、現職の得票は前回の初当選時より大きく減りました。竹村氏の減少幅は、編集部が両年の得票から計算した値です。前回は新人同士、今回は現職と新人の争いで構図が違うため、票の動きをそのまま比べることはできません。

九里学氏と竹村健氏はどんな人物か

2人はともに栗東市生まれの元滋賀県議で、県議としての経歴を持つ者どうしが市長の座を争いました。

九里学氏の経歴

九里氏は2007年から滋賀県議に5期連続で当選し、19年半務めた県議を2026年9月17日付で辞職して市長選に挑みました。

選挙ドットコムによると、九里氏は栗東市生まれで、龍谷大学経営学部を卒業後、大和ハウス工業の東京支社建築事業本部に勤めました。その後、栗東市や滋賀県で芸術・文化・スポーツの事業をプロデューサーとして手がけています。中日新聞によると、選挙戦では完全無所属の市民派であることを前面に出しました。

竹村健氏の経歴

竹村氏は県議を3期8年務めたあと、2022年の市長選で初当選し、今回は2期目を目指していました。

選挙ドットコムによると、竹村氏は栗東市生まれで、高校卒業後に家業の石油販売業を継ぎました。1988年から青年会議所でまちづくりに関わり、理事長や滋賀ブロック協議会の会長を務め、2014年から県議を務めています。今回は自民党と公明党の推薦を受けました。

選挙の争点は?栗東ホースパーク事業と子育て政策

争点は、竹村市政1期目の評価、栗東ホースパーク事業の進め方、子育て・教育政策、市の財政運営でした。

京都新聞は論戦のテーマとして、ホースパークの整備、子育て政策、中山間地の振興を挙げています。選挙ドットコムはこれに市の財政運営と竹村市政の是非を加えています。

栗東ホースパークとはどんな事業か

栗東ホースパークは、栗東健康運動公園に馬と触れ合える公園を整え、2032年の開園を目指す市の事業です。

産経新聞によると、市は日本中央競馬会(JRA)の栗東トレーニング・センターと協力して、令和14年(2032年)の開園を目指しています。デイリースポーツによると、整備するのは約10ヘクタールで、竹村氏は「栗東は馬の町づくりをやらなければならない。公約の一丁目一番地」と述べていました。市はふるさと納税を使った寄付の募集でも、完成までには長い期間の造成・建築工事が必要で、多くの財源を要すると説明しています。事業費の総額は、今回確認できた資料では示されていません。

両候補はホースパークをどう訴えたか

竹村氏は事業の着実な前進を訴え、九里氏は費用面に懸念があるとして検証する考えを示しました。

産経新聞によると、竹村氏は「馬の街で特出しできる」として事業を進めることを掲げました。九里氏は「費用面に懸念がある」として、事業を検証する意向を示しています。中日新聞によると、九里氏は財政状況を踏まえてハコモノ施策の縮小を訴え、その分を市民サービスの拡充に回すとしました。

九里氏は何を公約したか

九里氏は、ハコモノ施策の縮小とあわせて、中学校給食費の完全無償化とおむつ定期便の創設を打ち出しました。

中日新聞によると、九里氏はハコモノ施策の縮小と市民サービスの拡充を対にして訴えました。同紙は、これらの訴えで子育て世帯の支持を集め、人口が増えている栗東市で浮動票を掘り起こしたことを勝因として伝えています。読売新聞によると、九里氏は大型プロジェクトなどの情報公開を進めることも掲げ、出生率は高いのに若い世代が転出しているとして、若い人が移り住む政策が必要だと訴えました。主な訴えを整理すると次のとおりです。

テーマ 九里学氏(当選) 竹村健氏
栗東ホースパーク 費用面に懸念があるとして検証 「馬の街で特出しできる」として着実に前進
財政・施設 ハコモノ施策の縮小 確認できた報道では示されていない
子育て 中学校給食費の完全無償化、おむつ定期便の創設 確認できた報道では示されていない
情報公開・人口 大型プロジェクトの情報公開、若い世代の転入策 確認できた報道では示されていない
立場 完全無所属の市民派 自民・公明推薦

竹村氏の子育て・財政の具体策は、選挙公報には載っていますが、今回確認できた報道の本文では示されていないため、表では空けています。

なぜ現職は敗れたのか(編集部分析)

報道から確かめられるのは、政党の推薦と市議の多数の応援を受けた現職が、無所属の新人に約2千票差で敗れたという結果までです。

読売新聞は、市議の大半が現職を応援したなかで新人が初当選したと伝え、竹村氏の陣営は市民の変化を求める声を十分にくみ取れなかったと報じています。京都新聞も見出しで「組織選挙展開の現職破る」としました。政党の推薦と市議会の多数の応援が、そのまま票にならなかったことになります。

中日新聞は、子育て世帯の支持と浮動票の掘り起こしを九里氏の勝因に挙げています。ただし、有権者が何を重く見て投票したかを示す出口調査などは、今回確認できた報道にはありません。

(編集部分析)報道が伝える争点と勝因が正しいとすれば、国政与党の推薦を受けた現職の敗北は、政党の看板より、税金が自分の暮らしにどう使われるかを有権者が重く見た可能性を示しています。大型施設への投資と、給食費のような毎月の家計に届く支援のどちらを先にするかが、身近な選択として問われたといえます。これは編集部の推測で、投票理由を確かめたデータに基づくものではありません。

(編集部分析)保守の立場から見ても、税金の使い道を一つずつ確かめる姿勢そのものは評価できます。一方で、ホースパークは栗東トレーニング・センターを抱える「馬の街」の個性を生かす事業でもあり、検証が「やめるための理由探し」にならないかは見ておく必要があります。費用と効果を数字で示したうえで、続けるのか、規模を変えるのかを市民に問う進め方が求められます。

同じ10月25日のほかの市長選はどうだったか

当サイトが結果を整理した同じ日の市長選では、那覇・新潟・豊見城で現職が勝ち、現職が敗れたのは栗東市だけでした。

当サイトが同じ日の結果を整理した記事によると、沖縄県の那覇市長選では現職の知念覚氏が再選し、新潟市長選では現職の中原八一氏が3選、沖縄県の豊見城市長選では現職の徳元次人氏が再選しました。千葉県の君津市長選は現職の石井宏子氏のほかに届け出がなく、告示日に無投票で3選が決まっています。並べると次のとおりです。

市長選 結果 投票率
栗東市(滋賀) 新人の九里学氏が現職を破り初当選 38.06%
那覇市(沖縄) 現職の知念覚氏が再選 35.81%
新潟市(新潟) 現職の中原八一氏が3選 35.61%
豊見城市(沖縄) 現職の徳元次人氏が再選 50.51%
君津市(千葉) 現職の石井宏子氏が無投票で3選 (無投票)

表の他市の結果と投票率は、各市の記事で出典とともに整理しています。全国のすべての市長選を比べたものではありませんが、この表の範囲では、政党の推薦を受けた現職が新人に敗れたのは栗東市だけです。

新市長が最初に向き合う課題は何か

最初の課題は、ホースパーク事業の検証の進め方と、給食費の無償化などの公約の財源をどう示すかの2つです。

ホースパークは2032年の開園を目標に、JRAの栗東トレーニング・センターと協力して進めてきた事業です。九里氏が検証を始めれば、計画の見直しの範囲や、JRAとの協力の扱いが市議会で問われます。九里氏自身が「ほとんどの市議が現職を支援したことを真摯に受け止めなければならない」と述べたとおり、議会との関係づくりも新市政の試金石になります。

中学校給食費の完全無償化やおむつ定期便は、毎年の予算が続くことを前提にした施策です。いつから始めるのか、財源をハコモノの縮小でどこまで賄うのかは、最初の予算案で示されることになります。

読者が確かめる先は3つです。開票結果の確定値は選挙ドットコムの栗東市長選のページで、市の選挙の告知は栗東市の選挙のページで見られます。ホースパークの見直しや給食費の無償化の時期は、新市長の所信表明と最初の予算案を審議する市議会で示されるので、栗東市の公式サイトの市議会の会議録と予算の発表を見るのが近道です。

栗東市長選のよくある質問

Q. 同じ日に栗東市議の補欠選挙はありましたか?

A. 産経新聞によると、欠員1の市議補選も10月18日に告示されましたが、届け出は無所属新人の山内傳(つたえ)氏(48)だけで、無投票で当選が決まりました。

Q. 九里氏が辞職した県議の議席はどうなりますか?

A. 九里氏は9月17日付で県議を辞職しています(選挙ドットコム)。栗東市選挙区の欠員をどう扱うかは、今回確認できた報道では示されていません。滋賀県選挙管理委員会の発表で確かめられます。

得票や争点の詳しい内容は、下の参考情報の各報道でも確かめられます。

参考情報

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