【10/18】みやま市長選は吉原政宏氏が初当選|元市議3人の争い制す・投票率52.33%

10月18日に投開票された福岡県みやま市長選挙で、無所属新人で元市議の吉原政宏氏(59)が初当選しました。現職の松嶋盛人氏が2期で引退し、いずれも元市議の新人3人が争う選挙でした。みやま市選挙管理委員会の確定得票は吉原氏が8097票、古賀義教氏が3322票、河野一仁氏が3195票です。投票率は52.33%で、前回の選挙戦だった2018年の60.71%を8.38ポイント下回りました。

この記事では、3人の得票と投票率、吉原政宏氏の経歴と公約、敗れた2人の訴え、争点の一つになったワンヘルス事業、2018年の市長選との比べ、投票区ごとの投票率、新市政で注目したい点を、市の発表と報道をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 結果:吉原政宏氏が8097票で初当選。2位の古賀義教氏の約2.4倍の票を集めました。
  • 投票率:52.33%。前回の選挙戦(2018年)の60.71%から8.38ポイント下がりました。
  • 争点:県が整備を進めるワンヘルスセンターをめぐる事業の進め方。吉原氏は市費の投入に慎重な考えを示しました。
目次

みやま市長選の結果は?吉原政宏氏が初当選

みやま市長選は元市議の吉原政宏氏が8097票を得て、同じ元市議の古賀義教氏と河野一仁氏を破り初当選しました。

選挙は松嶋盛人市長の任期満了に伴うもので、10月11日に告示されました。選挙ドットコムによると、2期務めた松嶋氏は引退を表明し、無所属の新人3人が立候補しました(選挙ドットコム)。3人はいずれも市議を辞職して立候補しています。テレビ西日本によると、吉原氏は19日朝、みやま市役所で当選証書を受け取り、「責任の重さに身が引き締まっているところです」と述べました。

みやま市長選の得票数と得票率

吉原氏が8097票(約55.4%)を得て、古賀氏の3322票と河野氏の3195票を合わせた6517票も1580票上回りました。

みやま市選挙管理委員会は開票率100%の確定値を市の公式サイトに載せています(みやま市「開票速報」)。この確定値をもとに3人の得票を並べます。得票率は有効投票数1万4614票を分母にして編集部が計算したものです。

候補者(年齢) 新旧・肩書 得票数 得票率(編集部計算) 結果
吉原政宏(59) 無所属・新人/元市議(3期) 8097票 約55.4% 当選
古賀義教(74) 無所属・新人/元市議(3期)・元市職員 3322票 約22.7% 落選
河野一仁(55) 無所属・新人/元市議(2期)・神社の宮司 3195票 約21.9% 落選

市の速報では候補者名が「吉原 まさひろ」「古賀 よしのり」「かわの 一仁」とひらがな交じりで載っています。無効投票は224票で、投票総数1万4838票の約1.5%でした。2位と3位の差は127票にとどまり、2人の得票はほぼ並びました。

投票率は52.33%で前回の選挙戦を下回った

投票率は52.33%で、選挙戦になった前回2018年の60.71%を8.38ポイント下回りました。

みやま市の投票結果によると、当日有権者数は2万8354人、投票者数は1万4839人でした。男性は51.60%、女性は52.97%で、女性の投票率が高くなっています(みやま市「投票結果」)。2022年は無投票だったため、投票そのものがありませんでした。選挙ドットコムによると、当日有権者数は2022年の名簿登録者数3万612人から2258人減っています。

吉原政宏氏とはどんな人?経歴と公約

吉原政宏氏はみやま市瀬高町の出身で、百貨店勤務を経て2015年から市議を3期務め、子育て支援の「3つのゼロ」を掲げました。

高島屋の社員から市議を3期

吉原氏は青山学院大学法学部を卒業し、高島屋百貨店の社員を経て、2015年の市議選から3期連続で当選しました。

選挙ドットコムによると、吉原氏は今年9月18日に市議を辞職して市長選に臨みました。選挙公報では、1967年(昭和42年)7月25日生まれ、瀬高町出身と紹介しています(みやま市「みやま市長選挙 選挙公報」)。

選挙公報に掲げた5つの柱

吉原氏は子育て、若者の定住、高齢者の暮らし、農漁業と地域経済、ふるさと納税の5つを柱に掲げました。

選挙公報に載った公約を、書かれている言葉のまま並べます。

1 子育て支援「3つのゼロ」
子ども医療費・中学校給食・0〜2歳児の保育料を0円に
2 Uターン100万円
「みやまに帰ろう」定住プロジェクト
3 高齢者の5つの安心
医療・介護、健康づくり、移動・買い物、見守り、防災・減災
4 農漁業・地域経済
担い手の育成、スマート農業、商工業や観光の支援
5 ふるさと納税10億円
農産品やのりなどを全国に売り出し財源に

5つのうち、金額が書かれているのはUターンの100万円と、ふるさと納税の獲得目標10億円です。西日本新聞も、吉原氏が18歳までの医療費、中学校の給食費、0〜2歳の保育料の三つの無料化を掲げたと伝えています(西日本新聞)。

敗れた古賀義教氏と河野一仁氏は何を訴えたか

古賀氏は市役所41年の経験と中学校給食費の無償化を、河野氏は「持続可能なまちづくり」と6つの公約を訴えました。

古賀氏は県立山門高校を卒業し、みやま市の職員として41年勤めたあと、2015年から市議を3期務めました。今年7月31日に市議を辞職しています。選挙公報では「行政41年の経験は決断力!」と掲げ、中学校給食費の無償化、地場産品のブランド化、みやま花火大会の復活などを「必ずやる約束」として並べました。

河野氏は上庄八坂神社の宮司で、2019年の市議選で初当選し2期務め、9月18日に辞職しました。選挙公報では「日本一稼げる農漁業へ」「子育て日本一のまちへ」「市民に寄り添う市役所へ」など6つの公約を掲げています。中学校給食の無償化は吉原氏と古賀氏の公報の両方に載っており、子育て世帯の負担軽減は3人に共通する訴えでした。

みやま市長選の争点は何だったのか

争点の一つは、福岡県が市内で整備を進めるワンヘルスセンターをめぐり、市がどこまでお金をかけて関連事業を進めるかでした。

ワンヘルスは、人と動物の健康と環境を一体として守るという考え方です。RKB毎日放送とテレビ西日本は、ワンヘルスに関わるまちづくりが選挙戦の争点の一つになったと伝えました。

県のワンヘルスセンターとは

ワンヘルスセンターは、福岡県が市内の保健医療経営大学跡地に整備する施設で、2027年度中の供用開始を目指しています。

福岡県によると、中核の保健環境研究所を移転・新築し、家畜やペット、動物園の動物、野生動物の保健衛生をまとめて担う動物保健衛生所を全国で初めて設けます(福岡県「ワンヘルスセンターとは」)。県民が学べる体験学習の区域もつくる計画です。事業費について、テレビ西日本は約200億円、RKB毎日放送は約220億円と伝えており、報道で金額が分かれています。

吉原氏はワンヘルスへの市費投入に慎重

吉原氏は当選後、市のお金を使ったワンヘルス事業の推進は慎重に扱うべきだとの考えを示しました。

テレビ西日本によると、吉原氏は「市費を使ってのワンヘルス事業の推進は慎重に取り扱うべきことと考えている」と述べました。RKB毎日放送には「県の動向を見極め、市民の声を聞きながら慎重に考えていきたい」と語っています。なお、市の選挙公報を見る限り、3人の候補のいずれも公報の中でワンヘルスという言葉を使っていませんでした。

(編集部分析)県の大型施設の整備は、地元の雇用や人の流れを生む可能性があります。一方で、県の事業に合わせて市が独自の施設や催しを次々と上乗せすれば、人口が減り続ける市の財政に長く重荷が残ります。吉原氏の「慎重に」という姿勢は、限られた市の財源をまず子育てや高齢者の暮らしといった足元に回すという意思表示とも読めます。県と市の役割分担をはっきりさせ、市民の税金を何に使うかを議会で丁寧に説明する市政が求められると評価できます。

過去のみやま市長選と比べるとどうか

吉原氏の得票は2018年に初当選した松嶋氏の8770票より673票少ないものの、2位との差は大きく開きました。

2018年は前市長の辞職に伴う選挙で、今回と同じく新人3人の争いでした。2018年は選挙ドットコム、2026年はみやま市の確定値をもとに並べます。

投開票 当選者の得票 2位の得票 1位と2位の差 投票率
2018年10月(新人3人) 松嶋盛人氏 8770票 高野道生氏 8546票 224票 60.71%
2022年10月 無投票(松嶋氏が再選) -
2026年10月(新人3人) 吉原政宏氏 8097票 古賀義教氏 3322票 4775票 52.33%

2018年は1位と2位の差が224票の接戦でしたが、今回は4775票の差がつきました。2018年の結果は選挙ドットコムの記録によります(選挙ドットコム「みやま市長選挙(2018年)」)。2022年の無投票は同じく選挙ドットコムの記事で確かめられます(選挙ドットコム「現職の松嶋盛人氏が無投票で当選」)。

(編集部分析)8年ぶりの選挙戦で、市議として実績を重ねた3人が市政の後継を争い、有効投票の過半数を1人が集めました。ただ投票率は2018年より8ポイント余り下がり、有権者のほぼ2人に1人が投票に行っていません。前回が無投票だったことも重なり、市政への関心が細っていないかは気がかりです。新市長は、自分に入らなかった票だけでなく、投票に行かなかった半数の市民にも届く説明を重ねるべきだと評価できます。

投票区ごとの投票率はどうだったか

投票率は第10投票区(旧山川南部小学校)の60.35%が最も高く、第13投票区(高田小学校)の41.57%が最も低くなりました。

みやま市の投票結果は、17の投票区ごとに有権者数と投票者数、投票率を載せています。各投票区の投票者数を足すと市全体の1万4839人になります。目立つ投票区を抜き出します。

投票区(投票所) 有権者数 投票率 ひとこと
第10(旧山川南部小学校) 1082人 60.35% 最も高い
第15(旧開小学校) 1578人 58.87% 2番目に高い
第3(瀬高小学校) 1718人 58.73% 3番目に高い
第12(旧江浦小学校) 1470人 46.05% 低いほうから2番目
第13(高田小学校) 2894人 41.57% 最も低い・有権者は最多

最も高い投票区と最も低い投票区の差は18.78ポイントありました。有権者が最も多い第13投票区で投票率が最も低かったことは、市全体の投票率を押し下げた一因です。選挙公報によると、第13投票区は高田小学校の体育館内会議室が完成したため、投票所が変更されています。

吉原新市政で注目したいこと

注目したいのは、子育ての「3つのゼロ」とふるさと納税10億円という、市のお金の出入りに直結する2つの公約をどう形にするかです。

医療費・給食費・保育料の無料化は毎年お金がかかり続ける施策です。吉原氏は選挙公報で、子育て支援の無料化とは別の柱として、ふるさと納税の獲得額10億円を目指し、農産品やのりなどを全国に売り出して「財源を生み出す」と掲げています。公約がどう形になるかは、次の3つを見ると追えます。1つ目は来年度予算案に載る子育て支援の事業費、2つ目はふるさと納税の返礼品と寄付額の推移、3つ目は県のワンヘルスセンターに合わせて市が独自に組む事業費です。

新市長の所信表明や予算案・議案の審議は、市議会の公式ページ(みやま市議会)で会議の日程や議案を確かめられます。来年度の予算案はまだ公表されていないため、年明け以降の公表を待って、みやま市の公式サイト(みやま市)で子育て支援の事業費を確かめてみてください。

(編集部分析)農業とのりの産地として知られるみやま市にとって、ふるさと納税で地元の産品を全国に売り込み、その稼ぎを無料化のような毎年の施策に回すことができれば、筋の通った組み立てになります。ただし寄付額は年によって大きく動くため、毎年かかる無料化の財源を寄付だけに頼れば、寄付が減った年に施策が揺らぎます。地元の産業で稼ぐ力を本当に育て、身の丈に合った財政で暮らしを守れるかが、新市政の試金石になると評価できます。

みやま市長選についてよくある質問

吉原氏の任期は10月28日から始まる見込みで、同じ日に投開票された市議補選では4人が当選しました。

Q. 吉原氏の市長としての任期はいつからですか?

A. 松嶋氏の2期目の任期は2022年10月28日から4年間のため、10月27日で満了します。吉原氏の任期はその翌日の10月28日から4年間となる見込みです。

Q. 同じ日にほかの選挙もありましたか?

A. 市議会議員の補欠選挙(定数4)も同じ日に行われました。読売新聞によると5人が立候補し、西日本新聞によると元職1人と新人3人が当選しました。

同じ18日には、ほかの市長選も投開票されました。岐阜県の可児市長選の結果は「【10/18】可児市長選は冨田成輝氏が5選|医師の平田亮氏との一騎打ち制す・投票率33.98%」、兵庫県の川西市長選の結果は「【10/18】川西市長選は越田謙治郎氏が3選|元市議の斯波康晴氏との一騎打ち制す」、滋賀県の草津市長選の結果は「【10/18】草津市長選は駒井千代氏が初当選|自民推薦の白井氏ら3人破り初の女性市長」、埼玉県の草加市長選の結果は「【10/18】草加市長選は山川百合子氏が再選|自民推薦の木下元市長ら2人破る」にまとめています。

ここで取り上げた数字と発言は、次の報道と発表で確かめられます。

参考情報

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